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ダンジョンにSAO転生者の鍛冶師を求めるのは間違っているだろうか
出会いは突然に――そして偶然に
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(あえ)なく少女に遮られた。
 というか、わかってくれてたんだ、俺のボケ。
 てっきり、時代設定が違うから通じてなかったと思ったよ。

 「防具が欝陶しいって、馬鹿なの?命と快適さを天秤にかけて快適さを取るって、死にたいの?それに加えて、鍛冶師なんだって?よくそんなことが言えるよねっ!」
 「いや、本当に鍛冶師だし」
 「それはわかっているわよっ!」
 「?」

 どっちなんだよ、っていう顔――がどんな顔なのかはわかり兼ねるけど――をしていると、

 「鍛冶師なのに快適さをとって、装備をそんな軽装にしてよくダンジョンに潜ろうと思うわねっ、ていうことよ!」
 「あ、ああ、そういうこと」

 俺は少女の言わんとすることを理解して、手の平をぽんと拳で打った。
 そんな俺の前で、物分かりの悪い誰かさんの所為で、肩で息をしている少女がいた。

 「それなら、お前だって巫女服だけじゃないか」
 「ちゃんと見なさいよっ」
 「うおっ!」

 俺の指摘に、いきなり少女が胸元を大胆に両手で開き、俺は咄嗟に顔を背けた。
 …………『うおっ』は驚きの声だからね、全然喜びは含まれてないよ?まな板には全然興味ないし。

 「馬鹿じゃないの、あんた」
 「?」

 冷めた少女の声に、恐る恐る顔を戻すと、少女が開いている胸元からは黒光りする戦国武将とかが装備していたような鎧が覗いていた。
 俺はそれを見て、一番に思ったことは、夢がないということだった。
 何故か?
 鎧を着込んでいるのに上衣の胸元が全く膨らまない、その鎧の下にある双丘がほぼ平地に近いことが火を見るより明らかだからだ。
 だから、下に鎧を着込んでいることなんて思いも寄らなかったんだけど。

 「今、すっごく、女としての尊厳を傷つけられているような気がするんだけど?」
 「はははっ、何のことかさっぱり」

 胸元を直す少女に訝しむような眼差しを向けられながら言われ、俺は胸元に向けていた視線を泳がせながら、乾いた笑いとともに答えた。

 「ふーん。そう言えば、あんた、極東出身で鍛冶師なのよね」

 少女はいまだ少し疑いの色を残す目で俺を横目に脳天から足元まで見て言った。

 「そうだけど」
 「所属は?」
 「【ヘファイストス・ファミリア】」
 「名前は?」
 「常磐(ときわ)だけど」
 「フルネームよ、フルネーム」
 「常磐浩希(ひろき)
 「ふーん、もしかして、今日直接契約を申請されたりしていない?」
 「ん?してるけど、よくそんなこと知ってるな」
 「まあね。それで、それを断っていたりしていない?」
 「断ってる」
 「そう。じゃあ、また申請させてもらおうかしら、常磐浩希。言っておくけど、嫌とは言わせないわよ」

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