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ダンジョンにSAO転生者の鍛冶師を求めるのは間違っているだろうか
出会いは突然に――そして偶然に
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 しかも巫女が帯刀って、世も末、ていうか世紀末?
 それとも僧兵ならぬ巫女兵なのか?
 それなら百歩譲って薙刀(なぎなた)だろ。
 と、心の中でたらたらと批判してると、

 「何?私の名を呼んだのは、君?」

 その少女が透き通るような声で訊いてきた。
 可憐な容姿に似合わず、高飛車な口調だった。

 「いや、違う。気の所為じゃないか」

 俺はその頭上にクエストマークを浮かべた少女が『アカギ ミナト』という名前だったのはただの気まぐれな確率という神の産物だろうと切り捨てて、その場を歩み去ろうとした。

 「君、極東出身?」
 「うおっ」

 けれど、いつの間にか背後にいた少女に服の裾を捕まれていた。
 よく見れば、少女の頭上の【!】マーク消えていた。
 …………気の所為なのは俺の方か?
 いや、だけど確かにあったと思うんだけど。

 「そうだけど、それがどうしたんだ?」

 消えたクエストマークに首を傾げながら、服の裾を掴む少女の手を振り払う気にもならず、神の気まぐれに付き合うのもいいだろうと思い、素直に答えた。

 「そうか、そうか。君、私の巫女姿に惚れた口ね」
 「……………………はっ?」

 何故か顎に手を添えて、フムフムと心得顔で頷く少女に俺はぽかんと口を開いて固まった。

 「オラリオの男どもは目が濁ってて、私の巫女姿に見向きもしない馬鹿ばかりだけど、やはり同郷の男ならイチコロね」

 ふふんっと何故か誇らしげに鼻を鳴らしながら、ない胸を張って少女が言った。
 この時、俺はこの少女の人となりを把握した。
 …………こいつ、面倒臭い奴だ。

 「そうですね」
 「ちょっと、何で棒読みなのよっ」

 少女はそそくさと逃げようとする俺の肩を掴んで逃走を阻んだ。

 「私にそんな態度をとるなんて、何様?」

 俺様、なんていうあまりにも使い古された決まり文句を吐こうとする口をつぐんでいると、

 「それに、何で君は籠手しかつけてないの?君、本当に冒険者なの?」

 と、立て続けに問い質された。
 何から答えようかと、数瞬逡巡した末に、

 「俺は冒険者じゃなくて、鍛冶師だし、籠手、というかガンドレットしかつけてないのは、防具が欝陶しいからだし、何様かというと、俺様だから」

 全部答えることにした。

 「はぁ?」

 はぁ↑という怒り八割と疑問二割を含んだイントネーションから、俺の言ったことは、最後のボケも含めて、ほとんど通じなかったみたいだ。

 「いや、だから、俺様っていうのは、お前が何様って言ったから――」
 「それはわかっているわよ!」

 だから俺は微に入り細を穿つぐらいのつもりでボケから全部説明しようとしたが、敢
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