ロザリア
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の間を置いて、彼は口にする。
「ロザリア」
新しい、少女の名前を。
「今日この時より、貴女をロザリアと名付けます。女神アリアの祝福がその身に舞い降りますように。健やかに育ちなさい、ロザリア」
産まれたばかりの赤子が受ける洗礼の儀式。正式な手順こそ踏んではいないが、神父が教会で行うのであれぱ問題は無い。儀式は成立した。
「名付け親だから世話をする義務があるとでも? すごい屁理屈」
「ですが事実になりました。教会に住みなさい、ロザリア。私が貴女を善きように導きます」
少女は拒むつもりだった。
神父は苦手だし、堅苦しい空気も好きじゃない。
なにより、力を目的としているのは明白。
利用されるのは御免だ。
だが……少女に生じた感情は、拒絶だけでは無かった。
何も持たない少女が、初めて自分だけの呼称を得た喜び……感動。
「……あんた、放っとくと自分から死にそうだしな。監視しとかないと、何か起きた後、寝覚めが悪くなりそうだ」
素っ気無く横を向いたのは、涙を隠す為。
嬉しいなんて口が裂けても言うものかと、笑い掛ける神父の手を払い除けた。
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