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逆さの砂時計

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な動きに翻弄され腰が浮いた瞬間、更にもう一本……深く突き入れられた指が彼女を高みへ押し上げる。
 波打つ体から溢れたものが、彼の右手をべったりと濡らした。
 「……っ……は、はっ……」
 黒く染まった視界に白い光が飛散して明滅する。その向こうで霞んだ彼の顔が覗き見ている。
 「愛してる……だから、殺せない」
 透明に光る線を纏った指を引き抜き、くたりと力の抜けた彼女を仰向けに寝かせてから長衣を脱ぎ捨て……
 「んあ ぅ、っ……!!」
 大きく開いた脚の間に、彼の体が重なる。硬く昂ったものが、熱く熟れた空洞を一息に埋め尽くした。
 「ぁ んっ っ…… ぁぅ…… んッ」
 休む間も無く奥を突いては先端際まで引き抜き、また奥を穿つ動きが始まり……断続的で短い悲鳴が彼女の喉を鳴らす。
 「んあ ンッ んんンッ……!」
 「……アリ、ア……ッ」
 幾度となく繰り返されて来た行為を彼女の体内はすんなり受け入れ、気持ちを置き去りにしたまま彼の熱を奪い取ろうと収縮する。
 「ち が…… 私、は ぁあ あ……ッ!!」
 「違わ ない。お前は、アリア……だ。俺を封じた 忌々しい、女神……ッ」
 「や……や あっ アッ アッ、ッッ!」
 彼の動きが急激に速くなり、彼女の緊張が高まる。拒絶と期待と悦びが極限まで膨らんで……喉の奥を押し潰した。
 「……………ッッッ!!」
 堪らず反り返った顎に彼の吐息と舌が這い、下腹部にじわりと拡がる熱で痙攣のように震える体を、その腕の中に閉じ込めた。
 「……ロザリア……」
 彼女の目の縁から零れた涙を唇で掬って微笑む彼は、彼女が知る神父そのもので。
 それが一層、彼女の苦しみを強くする。
 「……クロ、ス……」
 「愛してる。殺して全てを無かった事にしたいのに……愛してると人間が煩い。煩わしいほどお前を愛してると叫んで止まない。こんなに憎いのに……」
 憎悪を湛えた瞳で。割れ物を扱う仕草で。
 彼は、彼女の唇を何度も何度も舐っては吸い付いた。
 

 落ち着かない呼吸と朦朧とした意識の中で……ロザリアは、この狂乱がいつから始まったのかを考えていた。
 一月前までは何気無い普通の日常に居た筈だ。下らない説教や押し付けがましいお節介が得意なクロスツェルと、最近になって少しずつそれに慣れてきていたロザリア。
 他人の為に全力を尽くそうとする莫迦な神父を、やはり莫迦者だと思いながらも突き放せなかったのが間違いだったのか。
 目の前で冷たくなっていった親友の姿を思い出しては、愛してると囁く神父にどうしようもない怒りを覚えた。
 衣服を剥ぎ、教会の地下室に鎖で繋いで、毎晩一方的に体を押し付けて。そんな事の為に拾ったのかと憤りを募らせた。
 彼がロザリアを、女神アリアと呼ぶまでは。



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