交渉 3−3
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叫びの屋敷に辿り着き、少しばかりの休息を取る。
禁断の森からいつの間にかホグズミード域まで足を運んでいたらしく、10点の減点を喰らった。...すまん。スリザリン生。
更に、同伴無しで禁断の森を彷徨いていた事も10点の減点対象となった。つくづくすまん。スリザリン生。来週からマイナス20点からのスタートとなる。......まあ、頑張ればいいか。
さて俺が減点対象の行動を取っている間、爺様は何をしていたのかと言うと......リーマス・J・ルーピンの隔離、だそうだ。
そもそも、満月の夜に変貌を遂げてしまう運命にある人間が何故入学を受け入れられたのか。それが爺様の仕業である事は承知している。爺様は、満月の夜には必ずこの叫びの屋敷へ赴き、リーマス・J・ルーピンを隔離していたようだ。
人狼となって人格を失った彼は、爺様の隙を突いて屋敷から逃げ出したらしい。
そして、森で俺と出くわした...というわけだ。
「彼はいくつの時から人狼に?」
「お前さんなら、知っておると思っておったがの...」
「残念ながら俺が知るのは未来で騒がれる事くらいだ。過去の事は知らん。記憶から探るのは可能だが、この世界の理(ことわり)と異なる為かやたらと疲れる。出来ればあまり使いたくないのでな」
爺様の話によれば、彼が人狼になったのは今から六年程前。5歳の誕生日を迎える前だったらしい。
彼の父親が人狼を侮辱した事が原因で、侮辱された人狼の一人がその腹いせにリーマスに噛み付いたのだとか...。
気の毒としか言いようのない状況だな。
爺様は11歳の誕生日の前日に彼らの家族の前に現れ、リーマスをホグワーツへ入学させると告げたらしい。それまで家に閉じ込められ、他人との関わりを遮断されていたリーマスにとって、それはそれは嬉しかったに違いない。
満月の夜には叫びの屋敷に閉じ込める、という条件の基、ホグワーツへの入学を許されたのだ。
彼にとって、我慢するのはそれだけだ。あとは、いくら他人と付き合っても叱る人間はいないのだ。
「家にいた頃よりも自由だ」と爺様に話した事もあるらしい。
「爺様。こいつ、俺の実験台にしてもいいか?」
「何をする気じゃ」
「独自開発した薬品を試したいだけだ。無論、危険だと判断したら止めればいい。...因みに、俺が試したい薬品の名は《脱狼剤》だ」
「.........」
生徒を実験台に...などと言われて二つ返事で了承するはずはない。だが、このジジィに嘘をついたところで瞬く間にバレるのは目に見えている。そのせいで交渉の機会が無くなるより、美味い餌をチラつかせてみた方が可能性はあると考えた。
その鍵となるのが《脱狼剤》だ。
脱狼剤は、人狼に
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