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ダンジョンに転生者が来るのは間違っているだろうか
食料庫終幕
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女は、それが邪魔だとばかりに大剣を薙ぎ、雷を相殺した。

「はぁっ!? んな出鱈目なっ!?」

あの雷を掻き消す剣閃だ。防御膜でどうこうとかのもんだいじゃねぇっ!!

振り下ろされる大剣。左手には本があるため、武器は抜けない。
あれをまともに喰らえば、確実に死ぬ。

「くそったれがぁ!?」

一瞬の思考の後、俺は後ろのアイズの手を取り、御者台から離脱した。
そしてその瞬間

御者台が爆ぜた。

それにともない、ゴルディアス・ホイールの魔法が解除される。

「あのアマァ!! なんちゅーことしてくれとんじゃボケぇ!!」

幸い、あれは魔法で作り出し、呼び出しているものであるため、直ぐに召喚は無理なものの、時間さえ有ればまた再召喚は可能となっている。原理は知らん。流石ファンタジー
……とか言ってる場合じゃねぇ!!

「完全ではないが、十分に育った、エニュオに持っていけ!」

『ワカッタ』

レヴィスが何かを叫ぶと、不気味な声が響いた。だが、あちらの方を気にする余裕がない。
アイズが風を纏い、レヴィスと剣を打ち合う。

巨大花(ヴィスクム)!」

力任せの薙ぎ払いでアイズを弾き飛ばしたレヴィスは再び叫んだ。
残った巨大花へ命令する

「産み続けろ!! 枯れ果てるまで、力を絞り尽くせ!」

瞬間、大空洞が鳴動した。

大主柱に巻き付く巨大花が震え、何かを吸い上げるおぞましい音響を発した。
ビキリ、と結晶の柱にいくつもの亀裂が走る。
それにともない、巨大花の触手や太い根が、瘤のように膨れ上がり脈動する。

そして


天井、壁面、大空洞の全領域の蕾が、一斉に開花した。

視界を埋め尽くすほどの食人花の群れ。その数は俺が召喚している怪魔の数に勝るとも劣らない。

大主柱に巻き付いていた巨大花は急速に色素を失い、枯れた花頭かわガクリと折れる、
そして、その代わりだとでもいうように、開花した食人花が咆哮し、一斉に落下した。


ーー怪物の宴(モンスター・パーティー)!!

呆然とする冒険者を食人花の群れが襲う。

「無理無理無理っ、無理だってぇ!?」

「離れるなァ、潰されるぞ!?」

【ヘルメス・ファミリア】の面々が奮闘するが数が桁違いだ。
あちらではアイズがレヴィスと食人花の攻撃に苦戦し、こちらでは他の冒険者達が奮闘する。

戦車を失った今、これに対処できるのはもう怪魔しか残っていない。

「クソッタレめ……!!」

もう何度口にしたかわからない言葉を漏らした。




ーーーーーーーーーーーー



本を開く。

俺に残された魔力のほとんどをこれに託す。

「やってやらぁ……!」

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