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3部分:第三章
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だ。それからだ」
 また腹心達に対して告げるのだった。
「いいか、一人も残すな」
「今度はどうしますか」
「どうして殺しますか」
「そうだな。今度は両手両足を砕くとしよう」
 巨大な車輪によって壊すのだ。そうしてそのうえで晒しものにする。欧州においては昔から広く行われている惨たらしい処刑である。
 それを行うというのである。彼は最早そのことだけを考えていた。
 しかしだった。ここで城から巨大な石が飛んで来た。それはモンフォールに向かって来た。
 一瞬であった。石が彼の頭を直撃した。兜も何もかもが砕け眼球が飛び出す。
 頭が完全に砕け散っていた。血だけでなく脳漿も撒き散らす。歯も飛び散りそのうえで背中からゆっくりと倒れていく。
 その彼にそれまで空を舞っていた烏達が一斉に群がった。そうして今死んだばかりの亡き骸を貪っていくのであった。瞬く間に骨や内臓が見えていく。
「全ては神の思し召しか」
「死んだな」
「うむ」
 同僚達は彼が烏に食われるのを冷ややかな目で見て述べた。
「今まで烏に食わせていたのが烏に食われる」
「それこそが神の思し召しだな」
「その通りだな」
 それが神の思惑だったかどうかはわからない。しかしシモン=ド=モンフォールは確かに死んだ。それだけは間違いがなかった。そうして烏達にその無惨な骸を貪られた。彼が今までしてきたように。それだけは間違いのないことであった。


烏   完


               2009・10・13

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