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ソードアート・オンライン 瑠璃色を持つ者たち
第十話 無謀
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に浮かんだ光景を振り払う。

違う、そうじゃない、考えるべきはそれじゃない。

そう思うが、クエストの内容を知っているだけあって、軍の今の勢力を知っているだけあって、生まれてくる希望的観測が自らの推論でことごとく打ち破られていく。

(間に合ってくれ……!)

祈りながら走ること数十分。
隠密スキルと経験則を使って戦闘を回避しつつクエストの発生場所にたどり着いた。

そこに広がる光景は、リュウヤの祈りを無残に引き裂いたものだった。


その光景は、リュウヤが想像した、想像してしまった、そのものだった。

いや、それ以上と言うべきだろう。

なぜなら、リュウヤが想像したのは危機に追い込まれたプレイヤーたちのみ。

今眼前に広がる光景はその先を映し出していた。

つまりーーー



『アアアアアアァァ!!』

剣が振るわれる。

「イヤだっ、し、死にたくなーーー」

パリン、

「助けてくれぇぇぇーーー」

パリン、

『ゴァァアアアアア!!』

拳が飛ぶ。

「ああああああああ」

パリン、

「この、クソっ、クソォォ」

パリン、



パリン、パリン、パリンーーー



剣によって、拳によって、ブレスによって、脚によって。

軍の制服を着たプレイヤーたちが次々にポリゴンの破片へと変わっていく。

指揮をとる者もいないのか連携はあってないようなもの。
皆が自分一人が助かろうとするあまり余計な被害が出ている。
あれでは逃げれるものも逃げれない。
阿鼻叫喚とはまさにこのことだ。
アルゴはまだ追いついていないのか。
ここで止められるのは自分だけか。

凄惨な光景を前にして、浮かぶのは冷静な思考のみ。

ーーーいや、違う。そうすることでこの現実から逃げているだけだ。

それでも抑えきれない感情が溢れ出す。





目の前で、死んでいる。

人が、死んでいる。

名も顔も知らないけれど。

目の前で、人が、死んでいる……?



また、か。

また、目の前で死んでいくのか。

人が、目の前で死んでいくのか。

大勢の命が、失われていくのか。



ーーーはぁぁぁ………。


槍を取れ

恐怖を捨てろ

意思を持て

震えを抑えろ

覚悟を決めろ


ーーー俺が、俺であるために。




「ぁぁぁぁああああああああああああっっっっ!!!!!」


槍が閃き、ナニカが呻いた。







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