第十話 無謀
[1/6]
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
「せらっ」
敵の攻撃を跳躍して躱し、自身の重みを加えた下段突きを敵の頭部にくらわせる。
急所をついたので終わりかと思ったが、そう簡単に倒れるはずもなく、数ドット残してギリギリ耐えていた。
「しつけえよ」
だがそんな最後の悪あがきを嘲笑うかのように頭部から引き抜かれた槍は横薙ぎに振るわれ、敵の首をはねた。
断末魔を聞く間もなくポリゴン化したモンスターに一瞥をくれることもなく、リュウヤは槍を肩に担いでふぅ、と溜めていた息を吐いた。
「くそ強えな、二十五層」
もううんざりだとでも言うように溢れた言葉は虚空に消えていく。
リュウヤがいるのは二十五層の迷宮区。
二十五層の転移門が開通してから一週間と少し。未だボスフロアへ到達したものはおらず、探索を続けている。
今までのこの時期なら次層がすでに開通し、また新たな攻略へと勤しんでいるのが通例なのだが、二十五層は中々に攻略が進まない。
その主な原因として、通常モンスターの基礎値がやけに高いことが挙げられる。
前層までなら簡単にできたことがここでは通用しなくなっている。いきなり難易度が上げられた感覚だ。
とはいえ、それでも四苦八苦しつつ迷宮攻略をしたおかげもあり、ボスフロア発見は時間の問題だとも言われている。
リュウヤもその考えを持つ一人であり、ソロで迷宮に潜ってはボスフロア発見のために尽力を注いでいた。
けれど、自分がボスフロアを見つけたらそれはそれでまた面倒なことになりそうだなぁとリュウヤは思う。
つい先日、ヒースクリフ同伴とはいえ前層のボスフロアを発見したのはリュウヤだ。
誰が攻略の指揮を執るのかという問題もそうなのだが、リュウヤにとって問題なのはそんなことではなく、アスナに叱られるかどうかが肝なのだ。
アスナの長く面倒な説教など聞きたくもないリュウヤは、しかし見つけなければ次へ進まないというジレンマに襲われながら迷宮区の奥へと進んでいく。
だがその足取りは数分後にピタリと止まってしまう。
「……もうヤダ」
目の前にある荘厳な大扉を前にorzとなるリュウヤ。
開けなくても判る。ここが第二十五層フロアボスの住処にして第二十六層への階段だということが。
「なんで俺が見つけちまうんだよ……」
見なければ良かったと思いながら立ち上がり、偵察のためボスの容姿を確認する。
念のために転移結晶を片手に持ち扉を開けた。
ギギィ、と重苦しい音を立てながら開いた扉の先にいたのは、天井に届きそうなほどの巨人。
しかもただの巨人ではない。双頭を持ち背中には巨人に見合うだけの大槌を二本装備していた。
「こりゃあ、やっべえな」
見ただけで解る、解らせられる実力。今までに戦
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ