第四幕その十一
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「それで」
「そうだね、桃がいいかな」
「桃のタルトですか」
「実はタルトにしようとは決めても」
それでもというのです。
「具体的にはね」
「何のタルトまではですか」
「決めていなかったけれど」
それをというのです。
「今決めたよ」
「どうして決まったんですか?」
「神宝が尋ねてきたからだよ」
彼のお顔を身てにこりと笑っての言葉でした。
「だからだよ」
「僕がですか」
「うん、君は中国人だね」
「はい」
「中国では桃がよくお話に出るし」
それにというのです。
「食べることも多いからね」
「確かに桃は我が国では」
「よく食べるね」
「好きな人が多いです」
「だからだよ」
「そういうことですね」
「うん、じゃあね」
それならばとです、カエルマンは神宝にその蛙の左右に分かれている目を動かしてそうしてお話をするのでした。
「桃のタルトにしよう」
「わかりました、それじゃあ」
「後でね」
お昼を食べた後にというのです。
そうしたことをお話してでした、皆はサンドイッチとサラダ、葡萄のジュースを食べてでした。そして桃のタルトを出しました。
見れば紫の桃です、ケーキはその紫の桃を見てまた言いました。
「ギリキンですね」
「うん、まさにね」
「ギリキンに来たからこそ」
「こちらの桃にされたんですね」
「そうなんだ」
こうにこにことしてお話するのでした。
「味は変わらないよ」
「はい、オズの国の桃ですね」
「色は違うけれどね」
それでもというのです。
「桃は桃だよ」
「桃色でなくても桃ですね」
ここでこう言ったのは恵梨香でした。
恵梨香は自分の服、ピンクのそれも見つつお話します。
「オズの国だと」
「そう、それぞれの国の色になるからね」
「ギリキンの国の桃は」
「紫なんだよ」
「桃色じゃなくても桃ですね」
「ははは、そうだね」
カエルマンは恵梨香の今の言葉に笑いました。
「そうなるね」
「そうですよね」
「うん、もっとも桃色の桃もあるから」
「そこはそれぞれですね」
「そうだよ、恵梨香もそのことはわかるね」
「はい、オズの国にいますから」
それでというのです。
「わかってきました」
「それは何よりだよ」
「そこを楽しむのもオズの国ですね」
「そうなんだよ」
「オズの国にはオズの国の色がある」
恵梨香はその紫の桃のタルトをケーキから受け取りつつこうも言いました。
「そういうことですね」
「そういうことだよ」
「そうしたことも面白いですね」
「オズの国ならではだね」
「はい、じゃあギリキンの国も」
「皆でね」
「進んでいきましょう」
「さて、青龍がいるのは」
神宝がまた言います。
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