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ダンジョンに出会いを求めるのは間違っていた。
第二十話
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 答えと言えば、まあ無いだろう。そんな余裕があれば五十九階層を突破できるはずだし。それも冒険者たちも解ってるだろう。
 実際に六十階層以降に立ち入ったことのある私から言わせて貰えば。

「たぶん五十階層(セーフティポイント)で待機させられると思いますよ。その辺の説明、受けてないんですか?」
「まだよ。と言うか、この話は本当についさっき言い渡されたばっかなのよ。椿(ピーキー)め」

 どうやら今の【ヘファイストス・ファミリア】団長は椿と言う人らしい。あからさまに嫌そうに顔をしかめるナチュルは、よぎったその人の顔を煙に払うように頭を振った。

「私の見解では五十一階層からは凌げる程度の実力を持った者しか連れて行かないと思います。【ロキ・ファミリア】ほど大きな団体ですから、余計な物は五十階層の野営地に置いていくかと」
「……そんなにヤバイところなの? 五十一階層から」

 張り詰めた顔で訊ねてくるナチュル。

 うーん。どうだったかなぁ。とりあえず竜がバカみたいに出てきたのは覚えてるんだけどねぇ。いかんせん私の体感じゃ二十年ちょっと前の記憶だ。強烈なシーンが断片的に思い浮かぶ程度。深層と言われて真っ先に六十階層以降の景色を思い出したのは内緒だ。

「ヤバかったと思います」
「具体的には」
「えぇっと、確か……、そう! ()()()大きな竜に狙撃されたりします」
「そ、狙撃!?」
「何層も下から炎ブレスを吐いてきます。だから床もぶち抜かれて落っこちたこともありました。落ちてる最中も岸壁に巣食う翼竜(ワイヴァーン)にも狙われたりします」
「それが噂に聞く《竜の壷》……」

 あー、そんな名前付けられたような。何せ五十台の階層のマッピングデータをそのまま【ゼウス・ファミリア】に譲渡しちゃったから、彼らがそう名づけてたはず。
 未到達階層を切り拓いた者に名づけの権利が与えられる。有名なのは《嘆きの大壁》である。だから六十階層以降の名づけもクレアに権利があったけど、そんなネーミングセンス無いから放ったらかしにしてた気がするなぁ。

 ちなみに、何で公で発表されている到達階層が五十八階層なのかというと、それ以降に立ち入った人が二人しかいないからだ。当然、私とヘラクレスである。私たちだけランクが抜群だったせいで、私たちに付いてこれる人がいなかったのだ。
 あまりに個人なのでギルド側が公に発表する到達階層は『ひとつのファミリアに所属するメンバーが五人以上で構成されたパーティが到達した階層』という定義に変えた結果である。だから最期を迎える直前に発表された私の到達階層は不明と表記されていたはずだ。

 馬鹿にするつもりは毛頭ないけど、Lv.6の冒険者が手こずる階層ならLv.10は朝飯前で乗り越えられ
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