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インフィニット・ストラトス if 織斑一夏が女だったら
第2話《織斑一夏という人間》
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ズ。決断は一瞬だった。

打鉄は整備室内に並べられている。どれも俺より大きいが細工をする部分はちょうどいい高さにある。

一機目の細工を終えた時、予想外に時間がかかり、俺は焦っていた。


ーーまずい・・・。まずい。このままではまた、足を引っ張るだけだ。『モンド・グロッソ』の時もそうだった。俺がさらわれなければ・・・。俺が馬鹿にされるだけならそれでいい。でもいつも『織斑千冬の妹』、がついてくるんだ。

どうしてみんな比較するんだ。出来ないのは俺だけだ、千冬姉は関係ないだろ?



『必ず力がほしくなるもの』



スコールの言葉が思い出される。

力・・・それがあれば俺はこんな思いをしなかっただろうか。
こんな行動をとらなかっただろうか。


ブブブブブ


突然のバイブに俺の心臓ははね上がった。

メールだ。こんな時間に・・・?少し、いや、とても嫌な予感がした。

無題で、初めてみるアドレス・・・

『今までの貴女を見てきました。
そんな細工では開催が延期され
るだけです。力を、貸しましょ
うか?』

血の気が引くのがわかった。

そんな・・・細工・・・誰か。見て・・・

その時だった。

俺の後ろに誰かが立っていたのに、俺はやっと気づけた。

俺が振り向く前に、誰かが俺を後ろから抱き締めた。

「怖いのよね?また・・・お姉さんと比較されるのが・・・」

とても優しい声で誰かが耳元でささやいた。

スコールの声だ。優しい声だ。優しい声のはずだ。でも、震えが止まらない。全身から汗が吹き出す。足が震えている。

「貴女は、もう解っているでしょう?『人々』はとても残酷なの・・・。でも、『人』はとても優しいものなのよ?私なら、貴女の『人』になってあげられる。」

俺は床にへたりこんだ。

ーーどこか・・・どこかで聞いたんだ。どこか暗いところで、この声を。

スコールはへたりこんだ俺の前で膝をつき、話しかけた。

「ねぇ、あなたが、協力してくれるなら・・・明日の試合、中止にしてあげられるわよ・・・?」

笑み。それはとても美しく、誰もを魅了させるはず。だのに、俺には悪魔のそれにしか見えなかった。

この人は、危険だ。














ーーーーそう、わかっていた。わかっていたんだ。

・・・でも、俺は、もう千冬姉に迷惑をかけたくなかった。『織斑千冬の妹』という、汚名をこれ以上作りたくなかった。

こんなのはその場しのぎなのはわかっている。でも、俺は目の前の悪魔にすがってしまったんだ。
















俺は・・・首を縦に振った。
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