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バフォメット
2部分:第二章
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た。これは他ならぬフィリップ四世がそうさせた。教皇を捕らえることによってだ。
 当時の教皇はクレメンス五世、フランス王の家臣と言ってもいい。その彼のところに王からの使者が来たのであった。
「陛下がか」
「はい」 
 家臣に等しい存在になってしまっているのは今フランス王を陛下と呼んだところにはっきりと出ていた。彼もそれははっきりと自覚している。
「テンプル騎士団を討伐する許可を頂きたいとのことです」
「左様か」
「教皇様はどう思われますか」
「異端は許してはならない」
 一言だった。
「そうだな」
「流石は教皇様」
 ここまで完全にただの儀礼である。もう答えは出ているのだ。
「それでは。テンプル騎士団を我がフランス王国と共に」
「教皇庁としても彼等の異端については以前より調べておいた」
「以前よりですか」
「そうだ」
 これもまた芝居だ。儀礼という名の芝居だ。
「悪魔を崇拝しているそうだ」
「何と」
 異端が常に言われることだ。悪魔崇拝は。
「それについて調べる必要がある。さらにな」
「では。どうされますか」
「すぐに主立った者達を捕らえよ」
 これもまたフランス王の意を汲んだ言葉だった。教皇は伊達に王の家臣とまで呼ばれているわけではないのだ。全てがわかってのことなのだ。
「よいな」
「はっ、それでは」
「すぐにかかる。いいな」
「わかりました。それでは」
 こうして陰謀が本格化した。話はテンプル騎士団の者達が気付かないうちに闇の中で進められた。その結果。ある日騎士団の主立った者達が教皇も臨席するフランス王の宴に招かれたのだった。彼等は卓に並んで座っている。主の席には教皇と王が並んで座り共に見事な服を着ている。そこに王の家臣や枢機卿達が並んでおり向かい側に騎士団の者達が並んでいる。つまり王、教皇を挟んで互いに見合う形になっていた。

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