雪の白さに蓮は染まりて
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別にこっちが勝手にやった事だから気にしないでくれと含ませる為に。
――確かに貸し借りは大事だ。朱里にも口を酸っぱくして言われた。でも……そんな冷たいことを始めっからして、信頼なんて築けるか。
お人よしとよく評される。分かった上でそれをしてしまう白蓮は、やはりコツコツと積み上げることしか知らない。昔は身内や仲間内だけだった。それでいいと思っていた。あの、大バカ者の黒と出会うまでは。
「あー……とりあえず茶番は止めよう。お互いに軍師が居て、分かってるはずだからさ。いきなり押し掛けた側が言うことじゃないけど……普通に睡眠を取ってメシを食った孫権殿と謁見をやり直したいな」
一寸、蓮華は何を言われたか分からず。
余りに的外れな場所を突かれては困惑するのも当然。しかれども、読み取れてしまったなら白蓮は其処を突っ込まざるを得ない。自分だって友達に言われて来たのだから。
あの黒ならこう言った。自分でもこう言う。仲良くなろうとしてるのだから張り詰めている人を気遣わずしてどうするのか。
「な、何を……」
「焦った時とか辛い時ほど心にゆったりとゆとりを以ってお茶でも飲みながら話ましょうってな。そんな感じのさ、“幽州流”に付き合ってくれたら嬉しい」
慈愛溢れる笑みだった。
優しい母親のような、優しいおばあちゃんのような素朴さ。上下関係や敵対関係、その他諸々のなんであろうと関係なく、只々無意識に与えられる温もりが其処にあった。
「……少し無礼が過ぎないか、公孫賛殿?」
謁見と銘打っている以上は誰かが咎めなければならない。故に蓮華が先だって口に出した。
本来なら亞莎か誰かがしなければならない事のはずだが、白蓮の発言があまりにも自然過ぎて、そして蓮華に休んで欲しかったというのもあるからか失念していた。
意地っ張りか、と白蓮は一寸だけ目を瞑る。きっと昔の自分でもそんな対応をしただろうから。まだ無理なのだ。大切な友達である黒のように上手く心を溶かせたら……そう考えてしまうのも詮無き哉。
――私はあいつじゃないから……私としての遣り方で行こう。
決して自分を見失うことなく、彼女も秋斗とは違うやり方だが線引きを間違えない。
「重ねて失礼した、孫権殿。ではあなたに今回の件の本命をお伝えする」
開いた目には知性の鋭さ。熱い眼差しには意思の炎が燃えていた。
少しだけ、蓮華はその強さに圧された。
「貸し借りは要らず、上下関係も要さず、我ら劉備軍の目的はあなた方と手を繋ぐこと。国同士の摩擦は間違いなく起きるだろうが、それでも私達劉備軍は長い時間を掛けてそれを無くしたい。つまりだ、あなた方と同盟……いや、違う、“共存”していきたいのだ」
「……まだ自分の国も持っていない勢力が言うには過ぎた言
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