雪の白さに蓮は染まりて
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い来る賊徒や軍行動を行う兵士に敵うはずがなかろう。
劉備軍が進めていた区画警備隊は兵士崩れのモノを叩き上げた防衛力で、本物の軍と練兵をしたりと生半可なモノでは無かった。故に劉備軍が作り上げた区画警備隊は強く……それを昇華させた華琳の街の区画警備隊は軍が攻めて来ても戦える程の、ある種の義勇軍とも呼べる。ただし、他の街で戦うとなると地理や風土、民との連携連絡等々の問題が多々立ちはだかり、話はやはり別なのだが。
対して孫呉は、自衛力を高めるには圧倒的に時間が足りなかった。外の遣り方を取り入れるとしても、“分かる”と“出来る”では尋常ならざる壁が其処に立ちはだかるのだ。
生真面目な蓮華は、その準備を怠ることはしない。きっとその壁を見つけて悩み、他の地域ではまだ出来ないと試すことさえ出来なかったはずで、自衛力の強化を方々の街々に連絡することまでは届き得なかったのであろう。
その場に冥琳が居たなら違う。
各地域で試させ、問題点を提出させて改善出来るよう各々に任せる。たったそれだけで街の警備意識ががらりと変わったであろう。
不可測の先手を打ち、これほどまでに最悪の状況にはならなかったはずだ。せめて七日や十日はこの事態を遅らせることも出来たかもしれない。
蓮華の色、その堅実で安定した遣り方は治世ならば正しい順序だが……乱世ならば例え急増された張りぼて程度の意識改革でさえ必要だった。
ほんの小さな所での裏目。
まさかこんな策など予測出来るはずも無い。せいぜいが軍として強襲を掛け、其処から長く繋がると思っていた程度。
冥琳の予測を越えて、悪龍の求心力が高かった。そして陳宮がただの戦術軍師に収まらなかったということ。
――どうする……この戦を終えても陳宮と飛将軍が何処に潜んでいるか分からないとなると、こちらはより一層酷いことになるぞ。
一番酷いのは“アレ”だ……他の勢力と協力関係を結ばれることだ。特に此れから信用したいモノと手を組まれると厄介なことこの上無い。
常人の及ばぬ先まで未来を読む。自分の脳髄をフル回転させて一つ一つ膨大な情報を整理して頭の中に押し込んで行く。そうしなければならない理由があった。
「……ね、冥琳。曹操と徐晃の組み合わせに綻びはあると思う?」
冥琳と同じように、雪蓮でさえその理由に思考を馳せていた。
家の現状はもっと調べてからしか整理出来ない。蓮華や亞莎、穏や祭、明命や思春がどう動いているのか把握してからの方がいい。
だから、せめて自分に分かる部分だけでもと彼女達は思考を読み解く。
帰還する途中の明命から入った大きな情報。袁家の敗北、覇王と黒麒麟の策略。戦の終端は恐ろしいにも程があった。
考えれば考える程に理解出来ない。“そんなバカげた方法を思いつく方がお
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