暁 〜小説投稿サイト〜
Tales Of The Abyss 〜Another story〜
#21 チーグルの森・決着
[2/6]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
きく迸る。

だが。


「ガアアアアアア!」

 ライガ・クイーンは、炎がきえない事を悟ったのか、再び雄たけびを上げた。自らを鼓舞する類のモノじゃない。次の瞬間、周囲にいた無数のライガたちが一斉にアルに飛び掛ってきたのだ。

「くっ しまった!!」

 アルは炎龍(サラマンダー)の制御に集中していた為、一斉に飛びかかってくるライガに対応する事が出来ない。
 先ほどルークが受けた一撃には比べるべくも無いが、無数の牙と爪が一斉に襲いかかってきた為、アルも吹き飛ばされてしまった。

「ぐぁっ……」

 倒れ伏す事こそ、拒否する様に膝をつくアル。

「アル!!」

 ルークの治療を終えたティアも駆け寄って、治癒術を使用した。切り傷も何とか塞がり、出血の量も抑える事が出来た。

「あっ ありがとう……。 くそ……、 あの炎龍(サラマンダー)は、集中しておかないと、出し続ける事ができない。……だから、オレに攻撃しやすいし、集中が切れたら消える。……それをあの一瞬で判断したのか? ……見た目に反して、凄く賢いんだ。……アイツは」

 アルは、炎を消し、悠々佇むあのライガ・クイーンを見てそう呟いていた。 あの譜術《フレイム・ドラゴン》は、術者(アル)と完全にリンクしている。そして、制御する為には術者アルは集中していなければならない。故にそこを付けば、攻撃は当てやすく、更に攻撃を行い集中力を削げば、制御を失って消滅するのだ。
 
 あの炎が術者の手を離れ、勝手に暴れるのも危険な為、これで良いとも思えるが、それでもあの一瞬で判断したライガ・クイーンは驚嘆に値する。

「かなりの強さよ……! 回復、後方支援を含めた援護は任せて。近接戦闘は頼んだわ ルーク! アルは周りのライガをお願い、女王に近づけさせないで」
「お……、おう!」
「わかった。あのライガ達がいたら クイーンに集中できないから。 兵隊は任せてくれ、終わったら直ぐにそっちに行くから」

 短く作戦を立て直すと、皆は一気に飛び出した。

 ルークとティアは、ライガ・クイーンに。
 アルは、無数のライガに。


「さあ、お前らの相手はオレだ」

 何とか、ライガ達の増悪(ヘイト)を誘う事が出来たアル。ライガ達も標的をアルと見定めた様だ。一切視線を逸らさずにアルを睨みつけているから。

 先ほどの炎龍(サラマンダー)を見て、……ひょっとしたら、無数のライガがアルを標的にしたのは、これはあの女王(クイーン)の指示かもしれない。

「……なら、好都合だ」

 仲間達はこれでクイーンのみに集中できる。一撃一撃の威力はかなり高いが、一匹だけなら、攻撃も回避しやすい。

 そして それぞれの第2ラウンドが始まった。



[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ