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Tales Of The Abyss 〜Another story〜
#20 チーグルの森・ライガ・クイーン
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 一行はその後も、幾度となく数匹のライガに囲まれたり、そして勿論ライガ以外にも生息している他のモンスターに襲われたりしていた。

 だが、治癒術を使用したり、町で準備もしっかりとしてきている為、それ程大きな負傷は無く、体力・精神力の消耗も最低限度に抑える事が出来た。

 終点は近づいている。森の奥へ向かう事約1時間。ミュウの案内に従い、更に奥へと進み、ライガ・クイーンが住処としている祠へと到着したのだった。

「んで、この祠の一番奥にライガのボスがいるんだな?」
「はいですのっ! ライガ・クイーンですの!」

 祠の前に到達した一行。まずルークが、先頭で入っていった。

「……ん? ライガ……クイーン(・・・・)?」

 ルークは判らない事があった様で、アルの方をチラリと見ていた。どうやら、解説を求めている様だ。アルも勿論その視線に気づいていたけれど。

「……ごめん。やっぱり、魔物に関する知識はさっぱりだよ」

 アルは、両手を上にあげていた。

 アルは、以前にイオンにチーグルの毛をみせられた時にも、直ぐに答えは出なかった。……それなりに、必要なのだという事は身に染みたから、これからは、どんどん覚えていこうと、接触したモンスター達の特徴を簡単にまとめ、簡単なモンスター図鑑を作ろう、と考えていた。

「ライガはね、強大なメスを中心に郡をなす女王社会なのよ。」

 そんな時、ティアがライガについて説明をしてくれた。アルは、女王社会については、大体は判る様だ。……その厄介さも。

「なるほど……ね。なら、その女王クイーンの側近には、必ず無数のライガ達がいそうだ。気を引き締めないと……」

 アルはそう呟きぐっと拳を握った。ここまでのライガ達を撃退してきた皆だったが、その俊敏さや獰猛な牙、爪の凶悪さは知っているから。

 ティアも、アルの言葉を聴いて無言で頷いた。一瞬の油断で致命傷にも成りかねない。軍人であるティアはそれをよく知っているから。

「へっ!何でもきやがれってんだ!」

 でも、そんな中でもルークはいつも通り、自信満々だった。 自信過剰、と思ったティアは ルークの方を見てため息を吐くのだった。

「ミュウ、通訳よろしくお願いしますね?」

 イオンが、丁度自分の肩に乗っているミュウにそう言うと、ミュウは頼られるのが嬉しいのか満面の笑みで。

「はいですの!! この奥ですの!!」

 元気いっぱいに返事をして その小さな両手を上にぴょこっと上げた。アルはそれを見て、思わず微笑む。……今は大変な時、だけど。ティアの気持ちがよく判る。本当に可愛いから。


 ミュウもやる気満々だし、ルークも自信満々だ。……アルは穏便に済ますことができればそれで良い、と考えていた。
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