第12話 銀の少女
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并州のとある村で張世平ら行商人一行と別れたバサラ。
なぜ別れたかと言うと路銀が尽きたと言っていたがそれだけではない。
それは昨日の晩に村人あることを聞かされたからだ。
ー「旅の兄ちゃん、あんた明日から歩いて北の方に行くんだって?」
「ああ。」
「悪いことは言わねえ。次の村に行くまででいいから行商のやつらと一緒にいた方がいいぜ。」
「ん?どうしてだよ、おっさん?」
「それはな、この村の近くに祠があるんだが、そこに化け物が住み着いてるからだ。」
「化け物?」
「ああ、祠が古くなってきたんで、村で壊そうかと話してたんだが、ある日その祠がある山の入り口にでけえ岩が一晩のうちに置かれてたんだ。」
「しかもその岩には『祠を取り壊すことは許さじ。そして食べ物を岩の前に祀ること。』と彫られていたんだ。」
「へえ・・・」
村人の話に興味を寄せた様子のバサラが話の続きを聞く。
「その化け物のことをお役人に話して退治してもらおうとしたんだが、まともに取り合ってくれなくてなあ。
そこで村に立ち寄った腕に自信のある武芸者なんかに化け物退治をお願いしてるんだが、みんな返り討ちに合うみたいでな。だから仕方なく食べ物を岩の前に置いているわけだ。」
「そういうわけだから兄ちゃん、次の村くらいまでは行商のやつらと一緒に行ったほうがいいぜ。」
そこまで話した村人は、バサラの方を見たが、怪訝な顔をした。
なぜなら、バサラが笑っているからである。
「へっ、おれの歌を聴かせがいのあるやつじゃねえか。」
「はあ?」
「決めたぜ!!そいつにおれのハートを叩きつけてやるぜ!!」
と言って立ち上がり、その祠に行こうとした。
それを慌てて止める村人たち。
今日は村に着いたばかりで疲れているだろうからゆっくり休み、明日行くのでも遅くはないだろうと説得し、渋々ながらもバサラを説得するのに成功した。ー
これが昨日の晩のことである。
もちろん路銀が尽きたというのは嘘では無い。
だが、それだけでこの村に残るわけではないということだ。
張世平らと別れたバサラは早速祠に行こうとしたが、ある少女を目にして立ち止まる。
その少女は銀髪の髪で、整った容姿であるが儚そうな印象を与える。
その少女は村人と話をしている。
どうやら昨日バサラが聞いた内容と同じようである。
だがその少女はバサラとは正反対の反応であり、落ち込んでいる。
時折何やら呟いているようで「そんな・・・」というような言葉が聞こえる。
そんな少女を見て何か気になるのか、バサラはその少女に話かけた。
「よお、どうしたんだい、あんた。」
「へ・・・?」
いきなり話しかけられた少女は気の抜けたような返事を返した。
そんな少女に構わずバサラは言葉を続ける。
「あんた、なんか落ち込んでるみてえだけ
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