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鐘を鳴らす者が二人いるのは間違っているだろうか
16.次代の剣士たち
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力によってこの学校は正教圏・反結晶圏に関わらない中立性を保っている。だから、この学校は地理的に反結晶圏に近いながら北の正教圏から訪れる人材も多く存在する。

 そして、そのような学生たちは故郷へ戻る際にオラリオを経由して故郷に戻ることが多い。また、神学研究や魔物研究の為に頻繁にオラリオに訪れる学者や生徒もいるため、この町でイスタンタールの生徒を見かけることは決して珍しい事ではなかった。
 まして今日は祭りの日。彼ら以外にも町のあちこちにたまのガス抜きを求めた生徒達が談笑している姿が見受けられる。

「うわ、見てよジャン。あそこの露店、凄い人だかりだよ!何を売ってるんだろう?」
「んー?……ありゃどうやら女服の露店みてぇだな。なになに……『ユルヤナの仕立て屋』?」
「ユルヤナ……ユルヤナ……どっかで聞いたことあるなぁ。多分父さんの書斎だったと思うけど……」
「まぁ男の俺達には関係ねぇことだ。まさか寮監のマーサさんに買って帰る訳にもいかねぇだろ」

 なお、ユウより身長が高いジャンにはその人ごみの先にセクシー全開の大胆なドレスの数々が目に移っており、さりげなくユウが本格的に興味を持つ前に離脱を促している。あんなもの着る女の気が知れねぇ、とジャンは内心でげんなりした。
 ……実は客の半分以上がオラリオの女神だったりするが、余所者の二人が気付くはずもなかった。
 ここだけの話、ヘスティアやらフレイヤ辺りのきわどすぎる服はこの店から提供された物が殆どである。
 
「………あんなもの土産に持って帰った日には翌日からの渾名がスケベ大魔王になるぜ」
「ん?ジャン、何か言った?」
「なんでもねぇ。ユウに何を奢ってもらおうか算段してただけだ。へへっ、高〜いのを期待してるぜ?」
「え、ええ!?何だよそれ〜!お、俺だってそこまで財布に余裕ないんだからな!!」

 仲睦まじそうに通りを歩く二人が、実は最初に出会った時は結構険悪な仲だったことを覚えている者は少ない。

 実は、ユウは正教の誇る名門軍家「ゼネオルシア家」の跡取り息子である。
 対してジャンは、剣豪として名高い「バレストラ」の家系に生まれた男。

 ユウの父親は正教騎士団の幹部格であり、ジャンの父ジェロムは騎士団きっての実力者だった。
 だが、15年前に起きたエタルニア公国との戦争の際にゼネオルシア家は真っ先に叛徒ブレイブ率いるエタルニア軍の降伏勧告を受け入れるように提言し、当時バレストラが仕えていた好戦派と真っ向から対立した。

 好戦派は「正教の威厳と歴史に泥を塗るエタルニアの軍勢に下るなど言語道断」と主張した。
 正教本部と最も距離の近かった土の神殿の占拠と巫女の殺害という冒涜的な行為を行ったエタルニアに戦いもせずに負けを認めるなど正教騎士団の誇りが許さない。当
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