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ダンジョンにSAO転生者の鍛冶師を求めるのは間違っているだろうか
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炉の炎に赤く照らされている部屋の中、俺はだまだまと鎚を振るう。
目の前にあるのは赤熱した鉄塊。
俺はその鉄塊に鎚を振り下ろす。
力に緩急をつけず、鎚を打ち付ける場所は無作為。
その鎚の発する音はどこか軽く、まるで中身が伴っていないと自分でもわかる。
鉄塊は自らを打つ鎚が空っぽであると理解しているように形を変えようとしない。
だけど、軽い鎚の音が四〇回目を数えると、鉄塊の放つ光は赤から白に変わり、一際
眩
(
まぶ
)
しい閃光を放つや、生を持ったように形を変えていき、やがて剣の形になると、輝きを失った。
剣は長さ七〇センチ――ここではセンチを
C
(
セルチ
)
と呼んでいる――の銀刃の両手用直剣。
能力値や限界強化回数からそれほど悪くない剣だとわかった。
ウィンドウを閉じると、適当な鞘を
見繕
(
みつくろ
)
って様々な剣や斧、槍が無造作に積み重ねられている二つの箱の一つに放り込んだ。
そして、部屋の隅にある二つの箱から新しいインゴットを一つと鉱石を五個取り出すとそれを持って対角にある炉の前に行き、燃え盛る炎に入れた。
炉の炎にあてられて、額から流れ落ちる汗を拭ってから真っ赤に染まって混ざり合った鉄塊をアンビルにのせて再び中身の伴っていない鎚を振るった。
この一連の作業はSAOにおける《鍛冶》だ。
作品のできは《鍛冶》スキルの熟練度と素材のレア度である程度決まるが、残りの少しは運に左右される部分がある。
「ふっ…………」
鎚を振り終わり、できた剣のウィンドウを開き、能力値を見てから、先程とは違う箱に放り込んで、炉から離れた場所に置いてある椅子に腰をかけ、溜め込んでいた息を吐いた。
「精が出るわね、ヒロキ」
すると、背後から見計らうように透き通るような声がかけられた。
「入ってくるときぐらいはノックしてください、ヘファイストス様」
鎚を振るっている途中に何者かが部屋に入ってきた気配に気付いていた俺は驚くことなく、振り返って答えた。
振り返った俺の目に映ったのは、部屋の扉に背中を預けている朱髪の女性。
女性は漆黒の眼帯で右目を覆い隠しているけど、それでも魅力的な顔立ちで、それに加え、手足もすらっと長く、腰は程よく
括
(
くび
)
れ、胸も
奥床
(
おかゆか
)
しさを感じさせる膨らみを白いブラウスに与えていた。
その女性の頭上にNPCだと示すアイコンと名前が浮かび上がる。
「それに、精が出ていないことぐらい、あなた様が知らないはずがないでしょう?」
「あら、何のことかしら。難しくて私にはわからないわ」
俺の指摘を人を食ったような言い草で流す、俺がヘファイストス様と呼ぶ目の前の女性は、お気づきの方もいると思うけど――『神』だ。
正真正銘の神だ。
そして、俺の主神
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