第5話 : 刻星病・後編
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い、彼女の瞳は揺るぎなく曇りなく前を見続けている。
でも、一応は聞かないといけないな……
「……受けるかい?」
「はい」
「理由は?」
「少しでも長く、今日のステージに立って居たから……それでは駄目ですか?」
「いいや……十分だ」
これが面白くもない野心からの承諾ならば、俺は怒ったかも知れない……まぁ、このアイドルにそんな事は無いだろうな。
先程のステージを見て、彼女にそんな不信を抱く事はないし、何よりも俺自身が彼女のステージをもっと見ていたいと思うっている。
ただし……条件をつけよう。
流石にAランクアイドルに、担当アイドルを正面から激突などさせてたまるか。
軽く息を吸って吐く。
「……勝負を受けよう。ただし条件はこちらが決める」
「うん!いいよー ドンとこいなの!」
遠くで律子に角が映えたように見えるが……アイツは怒らせると怖い。
だが……こちらに責任はないから知らん顔だな。
「……最後にサプライズで出演すると言ったな、ならばサプライズはフェス対決に変更。
そして勝敗はランクに影響なくだ、これは単なるサプライズと言う扱いとする……問題は?」
「ないよ? ミキがお願いすればOK貰えると思うの!」
「そうか、なら良いな……でも覚悟しろよ? 2対1での戦いになるからな」
「???」
星井 美希は訳が分からない顔をして首を捻って見せた。
悪いが、心拍数が上昇してるのは肇さんだけじゃない……
久し振りに本気を出したくなった……
本気の集中……全力のサポートを藤原肇に……
それにはスイッチでは駄目だ……それじゃ今の彼女のサポートなんてとても無理だ。
だから銃口を自分に突き付けるイメージをする。
さぁ……撃鉄を起こせ。
****
本来……俺は本気の集中力は使わない。
理由は幾つかあるが、あえて2つに絞って言えば“嫌い”と“危険”と答えておこう。
俺は嫌いだ……この才能が。
そして余りにも危険なのだ。価値観の変貌が生み出す性格の変化が……
それでも、俺の担当アイドルが共に歩むと、共に夢を紡ごうと言ってくれた。
ならば、この胸にあの輝きが刻まれてる限り、俺はきっと迷わない。
どんな暗い海の底にに沈んでも。藤原 肇と言う“星”の輝きを導にして必ず帰ってこれる……
胸に熱が灯る。とにかく何かしたくて心臓のエンジンが煩いぐらいに心音を鳴らしていた。
これには覚えがある。あの日、あの夕日の世界の中で、あの人の力になりたいと……あの人のように生きたいと願った時の心情。
突然降って沸いた話だが……せっかくAランクとフェスできる機会だ、このチャンス
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