暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン ≪黒死病の叙事詩≫
≪アインクラッド篇≫
第三十三層 ゼンマイを孕んだ魔女
片手斧の少女 その壱
[5/6]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初
赤の片手斧が()げられている。下はショートパンツで、靴には随分と装飾の施された軍用のようなブーツを履いている。印象としてはキリトやアスナと同年代ぐらいだろう。露出は多いのだが、色っぽいというよりも何処か子供っぽいような、友達と遊ぶのが好きそうで、何となく人懐っこい子犬のような雰囲気を持っている。

 その印象は裏切られず、中々に人懐っこく無遠慮な性格だ。

「さて、全員揃ったことだしさっさと移動するか。下手したら明日まで続くかもしれないからな」

 俺がそう言うと皆立ち上がり、思い思いの所作をした。伸びをする者、カードを仕舞う者、仲間に挨拶する者や財布の中身を確認する者。よし、飯代は払えるようだ。

 酒場のスイングドアから出ると、遠くに墓塔が目に入った。高いと言えば高い。少なくともよじ登れる高さではないだろう。最も五十メートルを誇る絶壁と比べたらそこそこに低いが、絶壁からかなり距離もあるので土側からのショートカット方法は存在しない。何処かの層だかにハンググライダーを作れるクエストがあったので、誰かが飛んでみたらしいのだが、墓塔の周りは随分と風が強いらしく制御が効かなかったらしい。最も今回はそんな捻くれた事は考えなくてもいい。なんといっても正攻法なんだから。

 六人居るのを確認して、イルが一緒にいるのを確認して、俺達は墓塔に歩を進めた。

 二十分ほど、結構な距離を歩いた。走れば五分もしない距離ではあるが、イルを見失う訳にはいかなかった。迷子を心配しているのではない。先行する危険性があったのだ。時にモンスターを引っ掛けてくるから本当に大変だ。

 到着した俺は人数を確認した。そのあとイルを確認。大丈夫だ。もしかしたらイルに関しては杞憂かもしれない。少し意識の度合いを下げてもいいだろう。俺は全員に聞こえるように大きめの声で言った。

「じゃ、まず周囲の二つの護衛塔から攻略していこうか。小ぶりだからそう難しくない筈だ」

 ミシャの居る塔よりやや小ぶりの護衛塔も、攻略に関する情報はない。おおよその構造は判明しているが二階へ行く方法は誰も知らない。此処もアドリブで超えていく点だ。最も今回のメンバーならさほど心配はないだろう。なんといっても自己主張の激しいヤツばかりだ。大人しめのアイだって意見だけは言う。六人居れば(アルゴ)の知恵。なんとかなるだろう。
 
 誰も俺の言葉に――俺のリーダー演出に――反論はなかった。もとい、する必要はないのだろう。この中でリーダー役が出来るプレイヤーは俺の他にアスナとヒースクリフだが、ヒースクリフは俺と違いリーダーというよりボスだろうし、アスナに関しては今回のクエスト――メントレについて――に詳しくない。一歩引くのは攻略を目的とする場合なら当然だろう。

 俺が重厚な石造りの扉に手
[8]前話 [1] [9] 最後 最初


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ