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幻影想夜
第二十夜「必然」
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。って言っても、この後もダラダラ続くだけで、何一つ変わらない。
「麻奈、やけに溜め息吐いてるけど…。」
 あまりにも私が溜め息を吐くものだから、良樹が怪訝そうに聞いてきた。
 この二人、私が優と付き合ってたことは知らない。
 言うも何も、この式で久しぶりに再開したんだもの。知るわけがない。
「ごめん、何だか疲れがね…。」
「そんなに仕事忙しいの?」
 隣から由美子が割り込んできた。
「まあね。OLが暇だなんて、一体誰が言ったんだか…。」
「でも彼女、麻奈と同じ会社の人なんでしょ?」
 嫌なことを聞いてきた。お茶にトリカブトでも入れて濁したい気分だわ…。
「そうよ。でも、同じ部所に居るわけじゃないし、顔見知り程度だわ。」
 どこまでも濁ってしまえ。
 いっそのこと、そのお茶を飲み干してしまいたいわ。
「そうなのか?俺はてっきり新婦からの招待だとばっかり…。」
 全く、どうしてこうも煩いのかしらっ!
「そうねぇ。普通、新郎は独身の女友達呼ばないわよね。」
 何で私のこと呼んだの!それからそこの二人も!!
「ま、そこんとこはヤツに聞かないと俺も分からないな。しっかしまぁ、何でヤツにあんないい女が出来たんだかねぇ。俺はそっちの方が気になるが…。」
「あ、それ私も不思議に思った。優ってさ、案外面食いだったのねぇ。大学の時は違ってたのにね。時は人を変えるってことかしらね…。」
 二人の会話が頭に響く。
 だから…何?

「必然だったのよ。」

 私が何となく、二人の会話を切ろうと口にした言葉。
 別に何の意図もなく、ただ言ってみた言葉だった。
「必然…ねぇ。そうなのかもね…。」
 何故か由美子が納得している。良樹は「そんなもんか?」と言って苦笑い。
 昔と変わらないなぁ、なんて思ったけど、やっぱり…全然違うのだ。
「ちょっとお手洗いに行ってくるわ。」
 私はそう言うと、そっと席を立って外へ出たのだった。
 正直、泣きそうだった。
 私はすぐに洗面所に行き、誰も居ないその空間で少しだけ…そう、ほんの少しだけ泣いた。そして、それを無かったかのように顔を洗った。
 化粧を直しただけ。なにもなかったんだって、自分に言い聞かせた。
「帰っちゃおうかなぁ。」
 そう呟いて、一人笑ってみた。
 お手洗いから出て会場に戻ろうとした時、通路の窓辺に懐かしい人影を見つけた。

―あれって確か…。―

 私はそれを確かめるべく、その人影に近づき声を掛けたのだった。
「ねぇ、祐一君よね?」
 彼は何か考え事でもしていたらしく、私が声を掛けると驚いて振り返った。
 昔と変わらない精悍な顔立ち。背は高く、全体的に整った体型だ。
 彼は大学の二年後輩で、同じサークル出身なのよね。彼と初めて会った時、密かにときめ
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