プロローグ : 新人には理不尽な難題
[5/8]
[1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
から見ればブツブツと呟く不審者だな……
「少し質問しても良いかな?」
「…………は、はい!」
うわぁ、若干引いてる……泣きそう。
「この犬はどこで発見したの?」
「すぐそこの公園です。私、お散歩が趣味なので、ふらふらーって歩いてたら……この子が草の茂みで震えてたんです」
「震えてた……臆病な性格か。まぁ子犬だし、好奇心で走りだしたと考えれば良いか……子犬で臆病なら、そう長距離は移動しない……っと考えれば、推測地点は……近場で、老人が散歩に好む場所だな……どこか心当たりの場所は?」
「えっと……」
しばし考え込みながら、優しく子犬頭を撫でる。あぁ、ホントに優しさが滲み出てて絵になるなぁ……
「あります!この子を見つけた公園の奥には、森を再現した木々の散歩コースがあります!」
「まぁ……都会の街並みよりは、老人は好む場所だろうな、発見地点から近いのもポイントだ」
うん、我ながら中々の推理だ。………よし、何か知らんが掴みはOKだ。名刺を渡してスカウトをーーー
「ありがとうございます!私、探して来ますね!」
させてくれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!!!!!
可愛らしい小走りを見送って、心の中で叫んでしまう……
せめて名刺だけでも、いや……名前だけでも聞きたかった……
そしてーーーー
らしくもない未練と胸に残る温かさに気付いたのは、彼女が過ぎ去った後だった……
あーも! このままじゃ千川さんに「この給料泥棒!」とか言われそうだよ……
***
「この給料泥棒!」
事務所に帰って報告したら、開口一番にやっぱり言われた。
なんでこの人お金関係には辛辣なの?
昔金銭トラブルにでも巻き込まれたの?ねえ???
「名刺の一つも渡せないなんて……」
「すいません……ただ、ピンと来る子には出会えましたし、まったくの無駄ではなかったです」
「へぇ……詳しくお願いします」
「まぁ……上手く言えないですが、この子をプロデュースしたいと思えた子に出会えました」
あの笑顔を思い出す。不思議と胸がフワフワして、優しさに満たされた……
「結局は名刺どころか名前も聞けなかったですが……あの女の子をプロデュースしたい」
違う。
「いやーーーー」
俺は見つけたのかも知れない。
「あの子がアイドルになった姿を見たい……です。だから出来ればあの子を探し出してスカウトをしたい!」
二つ目の“星”を……
「…………」
千川さんが、何やら品試しする様
[1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ