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遥かなる星の後
プロローグ : 新人には理不尽な難題
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から見ればブツブツと呟く不審者だな……



「少し質問しても良いかな?」

「…………は、はい!」



 うわぁ、若干引いてる……泣きそう。


「この犬はどこで発見したの?」

「すぐそこの公園です。私、お散歩が趣味なので、ふらふらーって歩いてたら……この子が草の茂みで震えてたんです」

「震えてた……臆病な性格か。まぁ子犬だし、好奇心で走りだしたと考えれば良いか……子犬で臆病なら、そう長距離は移動しない……っと考えれば、推測地点は……近場で、老人が散歩に好む場所だな……どこか心当たりの場所は?」

「えっと……」

 しばし考え込みながら、優しく子犬頭を撫でる。あぁ、ホントに優しさが滲み出てて絵になるなぁ……


「あります!この子を見つけた公園の奥には、森を再現した木々の散歩コースがあります!」

「まぁ……都会の街並みよりは、老人は好む場所だろうな、発見地点から近いのもポイントだ」



 うん、我ながら中々の推理だ。………よし、何か知らんが掴みはOKだ。名刺を渡してスカウトをーーー


「ありがとうございます!私、探して来ますね!」



 させてくれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!!!!!



 可愛らしい小走りを見送って、心の中で叫んでしまう……
 せめて名刺だけでも、いや……名前だけでも聞きたかった……

 そしてーーーー

 らしくもない未練と胸に残る温かさに気付いたのは、彼女が過ぎ去った後だった……
 あーも! このままじゃ千川さんに「この給料泥棒!」とか言われそうだよ……


 

 ***




「この給料泥棒!」


 事務所に帰って報告したら、開口一番にやっぱり言われた。
 なんでこの人お金関係には辛辣なの?
 昔金銭トラブルにでも巻き込まれたの?ねえ???



「名刺の一つも渡せないなんて……」

「すいません……ただ、ピンと来る子には出会えましたし、まったくの無駄ではなかったです」

「へぇ……詳しくお願いします」

「まぁ……上手く言えないですが、この子をプロデュースしたいと思えた子に出会えました」


 あの笑顔を思い出す。不思議と胸がフワフワして、優しさに満たされた……



「結局は名刺どころか名前も聞けなかったですが……あの女の子をプロデュースしたい」


 違う。


「いやーーーー」


 俺は見つけたのかも知れない。


「あの子がアイドルになった姿を見たい……です。だから出来ればあの子を探し出してスカウトをしたい!」


 二つ目の“星”を……


「…………」



 千川さんが、何やら品試しする様
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