暁 〜小説投稿サイト〜
BloodTeaHOUSE
ゆいちゃん
[2/4]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話

チャイムが鳴るのと同時くらいに教室を出て行っちゃったもんねぇ。

「ごめんね、待った?」
「ううん、いーの…」

ゆいちゃんは思いつめたような顔をして、踊り場の床を見つめてる。
隣に座ったけど、お弁当を食べながらって雰囲気じゃないよね。

「ゆいちゃん?」
黙ったままのゆいちゃんに声をかけてみる。
「…………鈴木くんに……」
「うん」
「……こ、こくは、く…された……の……」
え? そ、相談って‥‥それ? うれしくないの!?
「…あたし……泣いちゃって……」
あー…なんかわかった…ゆいちゃんてば、そういう不意打ちには弱いんだよねぇ。
前に1回だけ廊下の角に隠れて驚かしたら、その時もびっくりして泣いちゃったっけ。
「……電話でだったから…鈴木くん…電話…切られちゃって……」
うわぁ‥‥鈴木くんもどうしてそこで、電話切っちゃうかなぁ‥‥
私に相談されても、そんなの、どうしたらいいのかなんて、わかんないよー‥‥
「……どう、したら…いいのか……わかんなくって……」
私も頭抱え込みそうになるけど、そんな場合じゃないよね‥‥‥

「気持ち、伝えなきゃダメだよ。ゆいちゃん」
「……むり……さけられてる…もん…でんわ…ひっく…でて…ひっく…くれなかった…」
既に努力した後だったみたいで、ゆいちゃんは泣き出しちゃった。

「わかった……放課後、鈴木くん連れてくるよ」
「で、でもっ」

ゆいちゃんは泣きながらオロオロするけど、もう怒った。
自分の気持ちだけ言い逃げして、ゆいちゃんの気持ちから逃げ出すなんて、
友だちとして許せるわけがない。

「悪いけど、譲らないよ」
「……」
「ゆいちゃんは何を言うかだけ考えておいて」
「……わ、かった」

こういう時に私が絶対、人の意見を聞き入れないことくらいは、
長い付き合いだけあって、ゆいちゃんはよく知ってる。

「前にも、こーゆー事、あったよね」
「うん…」
「あの時はケンカだったけど…かすみちゃん、頼もしかった」

私は、4年生の時に運動会の練習中に無理をさせて、バレエに夢中だったゆいちゃんの
足首を捻挫させた男子を、家まで引っ張って行って
ゆいちゃんちの玄関でさんざんケンカして、土下座させた前科があるのだ。

「だって、ゆいちゃんがバレエできるようになるまで、3ヶ月もかかったんだよ?」
なかなかちゃんと謝ろうとしなかったあの男子に怒ったのは、しょうがないと思う。
「ふふっ、あのあとしばらく、かすみちゃんもケンカの怪我で大変だったくせにー」
玄関先で掴み合いのケンカしたせいで、頭をぶつけてしばらく包帯生活させられたっけ。
「あんなのはどうだっていいのっ。指さえ無事ならわたしは平気なんだから‥‥」
「うん、指怪我しなくてよ
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ