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儒家の武
3部分:第三章

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第三章

 しかしここでもだった。孔子は起き上がりそのうえでだ。右手から突きを繰り出した。
 それで顔を打ったのだった。そこから左手の手刀を横から出して刺客の首を打った。刺客はこれで完全に吹き飛ばされてしまった。
 こうして孔子は危機を脱した。見事なものだった。
 この話は暫く経って魯に広まった。皆口々に言うのだった。
「あの人そんなに強かったのか」
「刀を持った刺客を素手でか」
「しかも寝起きでそれをやったってな」
「凄いよな」
「相当強いんだな」
「しかしな」
 褒め言葉の後でだ。言われるのだった。
「何であの人そんなに強いんだ?」
「ああ、そういえばそうだよな」
「ちょっと洒落にならない強さだけれどな」
「武芸をやってるみたいな感じだけれどな」
 その強さからだ。こう考えられたのだった。
「あの人儒者だろ?」
「何で儒者がそこまで強いんだ?」
「だよな」
「学問ばかりしているのにな」
「どうしてなんだ?」
「おいおい、知らないのか」
 だがここでだ。孔子を知る者がいぶかしむ彼等に話すのだった。
「あの人な、武人の家の人だよ」
「えっ、そうなのか?」
「そうだったのか?」
「武人の家の出だったのか」
「そうだよ。お父上はこの国の将軍だったんだよ」
 実はそうだったのだ。孔子の家は元々その家の出だったのだ。
 それでだ。さらに話されるのだった。
「その人はもう相当大柄で筋骨隆々でな」
「力も強かったのか」
「それでか」
「そうだよ。それであの人だってな」
 孔子の話に戻った。彼の父の話からだ。
「お若い頃から武芸をしておられてな。弓なんかかなり得意なんだぞ」
「儒者なのにか」
「武芸をしておられるのか」
「そうだったのか」
「そうだよ、あの人強いんだよ」
 こう話されていく。
「文をしておられるが武の方もかなりなんだよ」
「そういえばな」
「そうだよな」
「あの人ってな」
「背がな」
 孔子の背についてだ。語られだした。
「無茶苦茶大きいよな」
「殆ど巨人だよな」
「ああ、とにかく大きいよな」
「それに御身体も」
 今度はその身体もだというのだった。

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