8部分:第八章
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「こうなることはわかっていた。だが」
「我々はそなたを使った。そのことは」
しかし返事はない。何処までも。それは変わりはしない。だがそれでも彼等は謝罪するのであった。そこに心があるのがわかっているからこそ。
「何時までも伝わる。そして」
「貴殿のことも」
今度は伍子胥が言う。
「一人の男がいたとな」
「永遠にな」
「そうです、永遠に」
そこにいた一人の老人が立ち上がって述べた。彼は王宮の記録係であった。
「この者の名は残りましょう」
「また名前を言っておこう」
光は専緒の名を彼にも告げることにした。どうしても残しておきたかったからだ。
「彼の名は専緒だ」
「専緒殿ですな。それでは」
「書き残しておくがいい」
こうも告げた。
「我等が何をしたのかもな」
「よいのですか、それで」
それならば彼等が王を殺したことが歴史に残る。それを問うたのだ。かつて自身が王を殺したことを書かせない為に記録係を殺していった男が斉の国にいた。こうした者は往々にしてどの国にもどの時代にもいる。都合の悪いことは誰も書き残されたくはないものだ。だから歴史書には様々なオブラートもあったりする。だがここれ彼等はあえてそれをよしと言ったのである。
「そのようにして」
「そうでなければ彼が何を為したのかは残らぬ」
光はこう記録係に述べた。
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