7部分:第七章
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き進む。彼はそれよりも早く剣を構え皿を上に投げていた。魚も菖蒲も高々と投げられそこから落ちる。まずは魚が落ちた。花は空に揺られて少し遅れていた。
腹心達が王を守るよりも、兵士達が矛を彼に突き立てるよりも彼の動きは速かった。その料理人、専緒の動きは。
剣を横手に投げる。今放たれた。丁度その前に菖蒲がありそれが王の視界を防いでいた。
「菖蒲・・・・・・」
王はその菖蒲を見た。そうしてそれを見て悟った。光が何故菖蒲を彼に贈ったのかを。それは死への餞別に他ならなかったのだ。
菖蒲が切れた。散り散りに。そこから剣が来る。専緒が放った剣が。王が避ける間もなく剣は飛び、そうして彼の額を深々と貫いたのであった。
冠が割れ床に落ちる。それを共に王の身体はゆっくりと後ろに倒れるのだった。
「王よ!」
「王!」
それを見て腹心達も兵士達も叫ぶ。だがもう間に合わなかった。剣は王を倒してしまっていたのだ。
専緒はそのまま宴の場の真ん中に立っている。身動き一つしない。その彼のところに兵士達の矛がそのまま突き進んできた。
避けられただろうか。それとも無理だったであろうか。どちらにしろ彼は動かなかった。動こうとはしなかった。身動き一つしようとしなかったのだ。
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