6部分:第六章
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ったものではありません」
「その通りだ。むっ」
ここで場に誰かが入って来た。すぐに兵士達が彼を呼び止める。
「誰だっ」
「止まれっ」
「料理人でございます」
その者は自分を呼び止めた兵士達に対してこう述べるのだった。見れば確かにただの料理人だった。その手には皿がある。ただ、やけに手の長い料理人であった。
「料理をお持ち致しましたので」
「料理だと」
「はい」
また兵士達に応えた。
「これでございます」
「魚か」
見れば皿の上には魚が置かれていた。鯉である。
「はい、焼き魚です」
料理人はそう答えた。
「只今お持ち致しました」
「それは公子からのものか」
「左様です」
そう述べる。
「王とと共に頂きたいとのことですので」
「ううむ」
「王よ」
そこまで聞いた兵士の一人が王に顔を向けて問うた。
「どうされますか?」
「焼き魚とのことですか」
「ふむ」
王は兵士達に問われて考える顔になった。顰めさせて顎に手を当てている。
「見たところ何も」
「おかしなところはありませんな」
「そうじゃな」
腹心達の言葉に頷く。
「これは問題ないか」
「はい」
「武器になりそうなものは何も」
そうとしか見えなかった。料理人が持っているのは皿、そして皿の上にある魚だけである。とても他に何か持っているようには見えなかった。
「ではよい」
王はそこまで見て遂に決断を下した。
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