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ダンジョンに出会いを求めるのは間違っていた。
閑話 第五話
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あのバカ、そんなこともやっとったんか……」
「セレーネ様はバカじゃありません!」
「お、おう、凄まじい即答ぶりやな……。すまんすまん、同僚の戯れの綾や。話戻すけど、そのやりたいことを探していた時期、セレーネはアルテミスっちゅう名前やったんや。というか、セレーネっちゅうのはな───」
「やあロキ、なんだか面白そうな話をしてるね? ちょっと私も混ぜてくれないかなぁ?」
「うげっ!? セレーネ、あんたいつの間に───ギャアアアァァァァ……──!!」

 は、速い……!? Lv.3になって五感が鋭くなっている私の目にも追いつけなかった!? 饒舌に語っていたロキ様の背後にいつの間にかセレーネ様が立っていて、そう思ったときにはお二方の姿が掻き消えて、あれ? と思ったときには遥か遠くからロキ様の悲鳴が響いてきた……!!

 何を言ってるのか解らないだろうけど、私も何が起きたのか解らない。あ、セレーネ様だけ帰ってきた。

「ふぅ。全くクレアに何を吹き込もうとしてたんだか……。ヘファイストスも止めてよね」
「言い訳がましいけど、私はちゃんと止めるように促したわよ」
「まあ知られるのはいいんだけどね。そういうのは自分から言っておきたいものだよ」
「そ、そう」

 ロキ様の行方が凄い気になるけど聞いてはならない気がする。ニッコリと笑うセレーネ様がそれを聞くなと言外に言ってるまである。
 真偽は解らないけど、狩猟の神様たる由縁の片鱗を垣間見たところで、大広間に通りの良い声が渡った。

『今日はよくぞ我が宴に足を運んでくれた』

 室内にいる全ての人たちの目が向かう先、大広間の奥には、一柱の女神様が姿を現している。ふくよかに膨らんでいる髪を背まで流し、全てを包み込むような母性に溢れた慈愛の微笑みを浮かべている。王冠と王笏を持っており、それだけで絶大な権力を握っているのが解る。
 傍に男女の団員が控えており、女性のお腹は少し不自然に膨れており、男性は気遣うように女性のお腹を撫でていた。

 たった一声で人のみならず神様すらも黙らせ振り向かせるのは、この宴の主催者ヘラ様に相違無かった。

『辺りを見渡せば解る通り、今回の宴の趣旨は我々神ではない。我々が愛し育んでいる子にある』

 ヘラ様は妊婦の傍に歩みより、そのお腹を愛おしそうに撫でた。子の誕生を今か今かと待ち続ける母のように。

『今宵集まってもらったのは他でもない、この子の生誕を願うために、そして史上で最も偉大な英雄になる子の発表でもある』

 生まれてもいない状態なのに、既に確信しているように公言するヘラ様。その言葉に辺りの神様たちはざわめきたつが、セレーネ様とヘファイストス様は反応をせず、ただヘラ様を見つめていた。
 様々な思いが混濁した視線を注がれるヘラ様は、むし
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