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ダンジョンに出会いを求めるのは間違っていた。
閑話 第五話
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ど、ロキ様の言いぶりではセレーネ様には狩猟にまつわる神話があるようだ。
 
 私が疑問を申し立てると、逆にロキ様はきょとんと呆けた顔で見返してきた。

「クレアたん、セレーネがどんな神なのか知らんのにファミリアに加入したんか?」
「は、はい。一応そうなりますね」

 私がセレーネ様のファミリアに入ったのは神話に憧れたから、とかではなく、セレーネ様の子になり仕えるべくして入ったのだ。というか、神様を選りすぐりしてファミリアを選ぶって相当バチ当たりなんじゃないかな……。

 ロキ様は口元を三日月の形に吊り上げ、細目を更に細くさせた。さながら悪事を思いついたいたずら小僧のような。

「ほな教えたるわ」
「ちょっと、やめておいた方が良いと思うわよ。セレーネ、確か黒歴史とか言ってなかったかしら? その話」
「構へん構へん。子に隠し事する親があかんねん」
「はぁ……。私は知らないわよ。天界の惨劇がまた起こっても」

 ヘファイストス様はそう言うと我関せずとロキ様から数歩下がって離れた場所に立った。

 何だ、一体セレーネ様の何が怖いんだ……?

 無知の恐怖が虫のように這い上がってくる中、ロキ様は満を持して告白した。

「というかクレアたんも聞いたことある名前やと思うんやけど」
「セレーネ様の名前って、セレーネ様じゃないんですか?」
「それは()()()()()()としての名前や。元々の名前は天界の三大処女と言われている一柱、アルテミスやで」

 アルテミス……? そもそも天界の三大処女ってなんですか?

 驚きよりも疑問が来てしまったためにリアクションが遅れると、私の反応を楽しみにしていたらしいロキ様はつまらなそうに唇を尖らせた。

「なんや、反応薄いなぁ」
「あ、いえ、その三大処女? というのは何かなぁと……」
「え? 知らんの?」
「当たり前でしょ。そんな事知ってる子は余程のマニアくらいよ」
「そうなんか……。そりゃ悪いことしたなクレアたん。じゃ説明したるわ。別に難しい話やないねん、処女という通り、バカみたいに貞操観念がガッチガチな女神のことを言うんや。それがたまたま三柱おったから三大、なんて大げさな言葉が付いとるんや。んで、それぞれ一柱がクソチビロリ巨乳(ヘスティア)、アテナ、そしてアルテミスっちゅうわけや」

 処女って、その、つまりアレだよね? 恥ずかしいから伏せるけど、つまり、アレだ。うん。
 でも何でアルテミス様がセレーネ様の元の名前なんだ? 偽名というのも考えにくいし。

「ほら、セレーネから聞いたことないんか? やりたいことを探してたー、とかそんな感じな事」
「それなら聞いたことあります。それで家事が上手になったとも聞きました」

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