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リリなのinボクらの太陽サーガ
襲撃
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、余裕を持たせながら走っていた。俺も身体能力にはそれなりに自信があるのだが、身体がしっかり道を覚えている彼女のスピードと並走するまでが精一杯だった。
それにしても……戦闘技術を一切知らなくとも、何気にシャロンの身体能力には卓越したものがある。単に動き慣れているというのもあるだろうが、それ以上に彼女は俺が感嘆する程、肺活量が多いのだ。それに呼吸も上手いから体力の消費も最低限で済み、身体が酸素不足になってバランスが乱れる事があまり無い。要するにシャロンは、自覚が無いまま理想的な呼吸法を身に付けていたらしい。持ってて損は無いスキルだが……将来それを活かすかどうかはシャロン次第だし、そもそも今の彼女は精神的に――――、

――――ゴゴゴゴ……!

「地震……! ファーヴニルの封印が解けかけている影響か……」

「結晶が……砕けていく……。急がないと道が通れなくなるかも……」

時間の猶予はあまり残されていないらしい。もう少し速度を上げなければ……!

豪快な音を立てながら崩れ落ちていく結晶群の上を、巻き込まれてなるものかと必死に走る。結晶の破片が辺りの空気中に散らばり、その中を潜り抜けて対岸まであと少しとなった時……シャロンが着地した結晶が根元から折れてしまう。

「っ!?」

反射的にかがんで倒れない様に姿勢を整えるシャロン。俺の方は飛ぶ直前だったことで一つ前の足場に留まれたが、このままでは彼女が奈落に落下してしまう。

「飛べっ!」

そう言って咄嗟に手を伸ばすが、どういう訳かシャロンはその手を掴まず、助かろうとしなかった。彼女ならまだ落下の勢いが弱い今の内に結晶から飛んでいけるはず……。なのに彼女は今、全てを諦めたように影の差した表情で俯き、自分で動く気配が無かった。あいつ……まさか!

「チッ、面倒な!」

重力加速度に導かれるまま、落下の勢いが増していく結晶に飛び乗り、シャロンの所へグラインドで突撃する。勢いを殺さずに右腕を伸ばして強引にシャロンの胴を抱え、落下中のせいで踏ん張りが効きにくい結晶から何とか跳躍。対岸の崖に左手で抜いた暗黒剣で突き、ギリギリ刺さった事で柄の部分からぶら下がる。眼下で砕けていく結晶を横目に、シャロンの体重が予想より断然軽く、女性とは皆こうも軽いものなのかと変な所で関心を抱きながら崖を蹴ったりしてよじ登り、やっとこさ地上へ到達した。

「あ……ありが―――」

「歯、食いしばれ」

バシッ。

「………!」

音でわかるだろうが、俺はシャロンを一発ビンタした。シャロンはぶたれた理由を一応自覚しているようで、無言のまま俯いた。

「何が“ありがとう”だ……全然本心から言ってないだろ! あの状況でもシャロンなら、自力で十分対処できたはずだ。なのにあの状況で動かなかっ
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