暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのはStrikers〜誰が為に槍は振るわれる〜
第一章 夢追い人
第6話 恋と日本文化と戦いと
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リオ」
呼びかけるその声は、僕に残酷な過去を思い出させた人とは思えないほど優しくて、縋るようにその先に、僕は耳をそばだてた。
「人はさ、未来に向かって今を生きてくものだけどさ、その今の自分っていうのは、過去の自分が向かって生きた未来の自分なんだよな」
そこで “その人” はいったん言葉を切り、顔は僕に向けたまま、どこか遠い目をした。
「だから過去を忘れて生きろなんてことを、オレは言わない。ただ、過去に囚われて生きるのだけはやめろ。そんな生き方は――悲惨でつまらないもんだ」
その言葉に、僕はただ黙っているしかなかった。
頭では分かっているんだ。そんなこと。でも、過去を乗り越えるだけの?―あのトラウマに立ち向かうだけの勇気が、僕には……。
「だから、とりあえず過去を引きずって生きろ」
……いま、“この人”は、なんて言ったんだ?
引きずって生きろ。そう言ったんだろうか?
聞き間違いかと思ってその目を見るけれど、聞き間違いじゃなかったようで、もう一度同じ言葉を返された。
「過去を引きずって生きてみな、エリオ。引きずるだけなら、少なくとも
未来
(
まえ
)
は向いてる。だからとりあえずはそれでいいさ。過去を乗り越えるのは、乗り越えるときが来たらでいい」
過去は忘れて今を生きなさい。
過去は過去、今は今。
そうやって、過去を今を分けさせようとする人は、これまでたくさんいた。
でも、僕にはそれができなかった。
過去を乗り越えるどころか、過去に向き合う勇気さえもなかったからだ。
だけど “この人” は、その必要はないって言っている。
過去を乗り越えることも、向き合うこともしなくていいと。
過去があるから今があって、過去が作った今が、未来になっていくんだからって。
たとえその過去が、どんなに重くて苦しいものでも、乗り越えるときが来るまでは、存分に引きずられていいと。
それがただの逃げで、本当はよくないことだって言うことくらい自分でも分かっている。
分かっているけど、それでも、“ラディ陸曹” の言葉に救われた自分がいた。
「それにな、エリオ。実は男の場合、そうやって重い過去を引きずったほうがよかったりもする」
「……どういうことですか?」
これまでとは違う真剣な表情から出てきた言葉の意味が分からなくて、僕は首を傾げた。
ラディ陸曹は僕の頭に乗せていた手を降ろし、人差し指を立てて振りながら、悪戯っぽく笑った。
「男っていうのはな、エリオ。少しくらい陰があったほうがモテるんだ」
「…………はい?」
突拍子もないラディ陸曹の言葉に、思わず僕は固まった。
モテるのはたしかに男の子としてはいいのかもしれないけれど、わざわざトラウマを作って
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