暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのはStrikers〜誰が為に槍は振るわれる〜
第一章 夢追い人
第6話 恋と日本文化と戦いと
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もできなくなった。
「そして?―“家族ごっこ”が始まった」
「?―っっ!!!」
その言葉に、思い出したくもない過去の思い出が蘇る。
近くの山に登ったピクニック。
雲一つない青空の下ではしゃいだ海水浴。
一生懸命応援してくれた運動会。
昼ごはんも食べずに夢中になってつくった雪だるま。
みんなで食べたご飯。
優しくて、眩しくて、暖かくて……上辺だけの、思い出。
「けれど、それも長くは続かなかった。どっから嗅ぎ付けたのかは知らないが、モンディアル家とプロジェクトFのことを知ったどっかの科学者が、エリオ・モンディアルを拉致しに来た。夫妻のほうは、初めのほうは抵抗したみたいだが、クローンのことを突きつけられて抵抗を止めた……もっとも、兄のほうは最後まで抵抗したけどな」
思い出す。あの絶望を。
これまでなんども見た、悪夢を。
ずっと箱に入れて蓋をして、頭の奥に追いやって、それでもなにかあるたびに隙間から漏れてきて僕を苦しめるトラウマが、いままた僕を苦しめる。
「残酷な科学者。無責任な親。悲劇の子ども。他人から見れば、そんなタイトルがつけられる悲しいニュースの一つってとこだ。でも、当事者からしてみればそんなもんじゃない。特に、お前が連れて行かれた後で受けた苦しみとかはな」
"その人"の言葉は情けも容赦もなく、僕の思い出したくもない日々を引きずり上げていく。
白い無機質な部屋の中で、朝なのか昼なのか夜なのかも分からずに、毎日毎日毎日、たくさんの血を抜かれて、抜かれたよりもたくさんの薬を打たれた。
泣いても、叫んでも、だれも助けてくれなかった。
みんな、みんな、いつも僕を冷たい目で見下ろして、手元の端末の上で指を走らせて、次の薬を決めていた。
体が震え出す。
温かいお湯に肩まで浸かってるのに体の震えが止まらなくて、膝を寄せて自分の体を抱き締める。
それでも体の震えは止まらない。
押し寄せる
過去
(
さむさ
)
は体が温まるより早く熱を奪っていく。
寒い、寒い、寒い。
寒くて。寒くて。その寒さの中に、落ちたくなる。
そんな僕の頭に、温もりが乗せられた。
最初はそれがなんだか分からなくて、少したってから、それが “あの人” の手の平だと分かった。
なんでそんなことをするのか分からなくて見上げる僕に、“その人” は僕の眼を覗き込みながら、口を開いた。
「なぁエリオ。今の生活は、楽しいか?」
?―僕はなにも答えなかった。
“この人” がなんでそんなことを聞くのか分からなかったから。
でも答えを聞かなくも、“この人” には分かったみたいで、なぜか安心したように笑って、頭の上に乗せていた手で、僕の頭をポン、ポンと叩いた。
「なぁエ
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