暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのはStrikers〜誰が為に槍は振るわれる〜
第一章 夢追い人
第6話 恋と日本文化と戦いと
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けてきた。

「エリオ君。一緒にお風呂に入ろうよ♪」

 いま一度、大事なことなので繰り返そう。
 エリオ・モンディアルは、絶体絶命の危機に陥っていた。

 事の発端は、キャロが注意書きのある部分を見つけてしまったことにあった。

 『女風呂の男児入浴は11歳以下まで』

 ミッド的に考えても地球的に考えても普通にありえない注意書なはずなのだが、ここではそれがルールとして罷り通っている。ルールとしてそれが通用しているのなら従うもの。そこに大義名分を見出したキャロがエリオを女風呂に誘い、そしてそこにフェイトが加わったのだ。
 ただ一言恥ずかしいので嫌ですと言えばよかったのだが、そこは人の好さが災いしたのか断りきれず、他の女性陣からもなにか言ってもらおうと頼ってしまった。
 しかし他の女性陣も、別に構わない、気にしない、という期待した答えとは反対の答えばかり。
 挙句の果てには髪を洗ってあげると追撃を受ける羽目になってしまった。
 守る術も、頼れる味方もなく、あるのはただ、男の子としての意地のみ。
 そんな危機的な状況の中でもエリオはあきらめず、決意を固める。

 言うぞ。言ってみせる。

 これは決して自分のためだけではない。彼女たちのためでもあるのだ。
 そう自分に言い聞かせ決心を固めながら、彼は息を吸い込んだ。

 そして断りの言葉を言おうとしたその時、フェイトが口を開いた。

「昔みたいに、一緒にお風呂に入ってくれないの……」

 その寂しそうな声と上目づかいに、エリオの決心は一瞬にして砕け散った。
 それも仕方ないことだろう。
 エリオにとってフェイトは母であり姉である人なのだ。
 そんな女性に、寂しそうな顔をされてしまえば、反抗期もまだな彼は無下にはできない。
 むしろ即座に首を縦に振らなかっただけよく耐えたと言えるだろう。
 だが、決心が砕け散った今、エリオにはもう男の子としての意地を通すだけの気力は残っていなかった。
 あきらめて、甘んじて男の子としての辱めを受けようか……。
 そう悲壮な決意を固めたとき、エリオの肩に力強い手が乗せられる。

「ダメですよ〜、フェイトさん。エリオはオレと一緒に入るんですから」
「ラディ陸曹……」

 そう声を上げたのは、これまで静観を保っていたラディだった。
 不安そうに自分を見上げてくるエリオに対し任せとけと軽く口角を上げながら、ラディは言葉を続ける。

「エリオがそっちに行っちゃったら、オレ一人で入らなきゃいけなるじゃないですか〜。そんなの嫌です」

 ラディの言葉になんとかエリオを取り戻そうと反論を考えるフェイト。
 今日入ってきたばかりの新人に、流石に一人でお風呂に入ってこいとは言えず、頭は空回りするばかり。
 な
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