第三章 [ 花 鳥 風 月 ]
五十七話 凶夜の警鐘 肆
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羅は御人好し以外の何者でもなく、逆に虚空は立場を利用した極悪人だろう。
退魔術式の武器、ましてや博麗の術式を施された刃で傷を付けられているのだから完治には少なくとも七日七晩は必要なのだ。
傷口が真面に塞がっていない状態で全力戦闘などすれば傷が開くのは道理――――その証拠に倒れ伏している萃香は自身の血で出来た紅い池に沈んでいた。
萃香を見下ろしていた百鬼丸は、部屋の出入り口に居た勇儀達に気付き視線だけを向ける。
「何の用だお前等?雁首揃えて?」
百鬼丸のその一言に応えるように勇儀は一歩踏み出し、
「……それはこっちの台詞だよ、あんたこそ萃香に何をしてんだい?」
分かり切った事ではある、だが確認するかのように勇儀は言葉を吐いた。
「あぁ?見てわからねーか?頭領である俺に反抗してきやがったから返り討ちにしたんだよ」
百鬼丸はそう吐き捨てると少しだけ足を浮かせ、再び萃香の頭を踏み付ける。その行動に王儀が激しく反応し、
「このクソ野郎がッ!萃香さんからその汚ねぇ足をどけやがれッ!ぶっ殺すぞッ!」
彼同様に他の鬼達も殺気を放ちながら殺意の籠った視線を百鬼丸に向けぶつけるが、当の百鬼丸は煩わしい、といった感じで逆に冷めた目をしていた。
鬼の衆の言葉を代弁するように勇儀の口が開き、
「王儀の言う通り、その汚い足をあたしの大切なダチからとっとと退けなッ!」
言葉と共に放たれた殺気と烈気が損壊だらけの部屋に新しい亀裂を奔らせる。その様子に百鬼丸は、
「……まったくこれから楽しい祭りが始まるって言うのに、面倒事ばかりだが――――いいぜ!かかって来いよ!全員でなッ!!」
笑みを浮かべ高らかに声を上げる。
双方から放たれる闘気で部屋全体が小刻みに震え――――次の瞬間、先ほどの衝撃よりも強い振動が部屋全体、否砦全体を襲った。
突然の衝撃に百鬼丸と勇儀達は互いに視線をぶつけ合い、そして同じ結論に至った――――こいつの仕業では無い、と。
激しい揺れは数分間続き、そして何事も無かったかのように静寂が訪れた。
今の揺れは何だったのか?と双方が思案する中、此処に繋がっている別の入り口から鼠型の妖怪が慌てながら飛び込んで来た。
「た、大変です!百鬼丸様ー!ってえ?何だこれ?どんな状況?え?」
「とっとと報告しやがれッ!馬鹿野郎がッ!」
部屋に漂う殺伐とした空気を敏感に嗅ぎ取った鼠妖怪に百鬼丸は苛立ちを隠す事も無く怒鳴りつけた。その怒声に鼠妖怪は竦み上がりながら、
「ひゃ、ひゃいッ!報告しますッ!え、えーと……そ、外の連中が消えましたッ!」
「…………はぁ?」
「い、いや……き、消えたというか何か変な黒い球みたいなモノに
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