第202話 妖精は再び―――――。
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いるはずのトーヤが、地面にもディスペアの足の裏にもいないのだ。影も形すら残っていなかった。
さすがのディスペアもこれには戸惑いを隠さずにはいられなかった。
ディス「い、いったい・・・どうなっておるんぐォア!?」
「どうなっておるんじゃ・・・?」と言おうとしたディスペアの後頭部を強い衝撃が食らった。
ト「確かに僕は、ナツさん達と比較したら魔力も体力も能力も十分衰えています。ですが―――――」
声が聞こえ後ろを振り返ると、固く握り締められた右手に黒い炎を纏ったトーヤが空中に佇んでいた。下を向いていて顔がよく見えないが、その声色が殺気立っている事にディスペアはすぐに気づき、思わず喉がゴクリと大きな音を立てて鳴った。
ト「僕も、妖精の尻尾の魔道士です。あなたを倒す力は十分持っています。」
顔を上げたトーヤの赤い瞳には、熱意と殺気が宿り揺らいでいた。
頭から流れ出た血でトーヤの顔の左半分が血塗れになっており、揺らいでいる殺気を更に不気味に思わせた。
左手を顔の前に掲げ青い炎を纏うと、
ト「外見だけで全てを判断するのは浅はかです。程度が知れます。」
空中に黒と青の火の玉を出現させ、ディスペアに向かって一斉に放った。
ディス「ぐァアアアアア!」
轟々と燃え盛る“魂の炎”と“妖の炎”の中でディスペアは呻く。
ト「漆黒の“魂の炎”と青藍の“妖の炎”は、地獄の業火よりも激しく燃え盛りその身を全て焼き尽くす事が出来ます。例えその身が、悪魔だとしても―――――。」
殺気立ったトーヤの声が耳鳴りのように響くのをディスペアは感じた。
ディス「ぐっ・・・!絶覇道!」
眉間に深く皺を刻んだディスペアは、黒い覇道を身体から放出し“魂の炎”と“妖の炎”を吹き飛ばした。
ディス「・・・お主を見下していた事は素直に謝るわい。じゃが、お主の2度目の攻撃を食らう前に奈落のどん底に突き落としてやるわい。お主に、最大の絶望を―――――。」
ト「絶望に落ちるのはあなたの方です。僕は“希望”を夢見ます。そして僕を・・・いいえ、妖精の尻尾を敵にまわした事をあなたは一生後悔するでしょう。劫火の中で―――――。」
か弱かったはずの妖精が、“希望”に向かって再び飛び立つ―――――。
―クロッカスの街 北側―
ル「開け!魔喝宮の扉・・・カプリコーン!」
スロ「うげっ!」
姿を現したのは、燕尾服にサングラスという出で立ちの星霊―――――カプリコーン。
カプリコーンは召喚されたのと同時に“恨みの悪魔”スロークの後頭部を目にも止まらぬ速さで肘で殴りつけた。ほ
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