暁 〜小説投稿サイト〜
真田十勇士
巻ノ四 海野六郎その十四

[8]前話 [2]次話
「あの方ならばと思うからこそ」
「伊賀にいることを幸せにすら思います」
「わしもじゃ。百地様もおられたが」
 しかしというのだ。
「半蔵様にお誘いを受けたのは天の配剤じゃ」
「その百地殿の行方はわかりませぬが」
「織田様の伊賀攻めの後は」
「ご無事でしょうか」
「あの方はそう簡単に死ぬ方ではない、しかし元々家をまとめられる気のある方ではない」
 それが百地というのだ。
「仙人の様な方で弟子もあまり取られぬしな」
「ですな、孤高で」
「お一人だけ先を行かれる様な」
「そうした方ですな」
「そうした方じゃ、悪い方では決してないが」
 しかしというのだ。
「半蔵様とはまた違う」
「はい、人を惹きつけるものはおありでも」
「半蔵様とはまた違うものですな」
「そこがです」
「どうも違いますな」
「そうじゃ、それでまた幸村殿のことを言うが」
 ここで前置きをしてだ、牛鬼は周りの者達にあらためて幸村のことを話した。
「あの御仁、只の武士ではない。忍の術も心得ておる」
「それは双刀殿や雷獣殿も仰っていました」
「幻翁殿も」
「そうであろう、若しや徳川家にとって厄介な敵になるだけでなく」
「徳川に仕える我等にとっても」
「厄介な敵になりますか」
「忍としてもな」
 そうなるのではというのだ。
「そんな気もする、敵にならぬことを祈る」
「徳川に引き込めればいいですが」
「そのことも考えねばなりませぬか」
 男達も言うのだった、そしてだった。
 牛鬼は男達と別れそのうえで西に向かった、相撲の場では幸村は清海と土俵の上で向かい合っていた。それが決勝だった。


巻ノ四   完


                             2015・5・1
[8]前話 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ