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女傑
4部分:第四章
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なかった。それでも彼女は毅然としていた。
「ならばよし」
 そのうえでの言葉であった。
「では城塞、そしてフォルリの護りを固めなさい」
 そう命じてきた。
「宜しいですね。退くことはありません」
「はっ」
 カテリーナの家臣達もそれに頷いた。彼女も決戦の意思を固めていた。
 その夜カテリーナは一人自室にいた。既に城塞には武器弾薬が運び込まれ城の周囲の木々が切り払われた。堀には水が湛えられ決戦の準備は整っていた。
「ヴァレンティーノ公爵」
 奇しくも昨夜のチェーザレと同じ赤いワインをその手にしていた。
「相手にとって不足はないわ」
 萌える目で今彼の顔を心の中に見据えていた。
「私もスフォルツァの女、逃げたりはしない」
 目の光がさらに強くなる。闇の中でそれが燃え上がっていた。
「最後まで戦う。剣の家として」
 彼女は勝利を望んではいなかった。戦うことを望んでいた。そしてその決意が変わることはなかった。

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