4部分:第四章
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せん」
「私もです」
皆そう答えるしかなかった。曹操の下には天下に名高い知恵者が集まっていたが誰にもわからなかった。
「これが妖術というものでしょうか」
「ううむ」
曹操はそれを聞いてもまだ解せなかった。彼は元々そうしたことを信じない男であったのだ。
「こんな筈がないのだ。これはまやかしだ」
「はあ」
皆彼の言葉に頷くしかなかった。曹操はなおも言葉を続けた。
「まやかしならば破る方法がある。牛や豚の血を用意せよ。たっぷりとな」
「わかりました」
すぐさまそれに従い牛や豚の血が集められた。そして曹操はそれと共に五百人の左慈を処刑場に集めそこを武装した将兵で取り囲ませた。まずは左慈達に牛や豚の血をかけた。
「これで術は使えまい」
不浄なものである畜生の血で以って術を封じるつもりだったのだ。彼は左慈達が血で赤くなったのを確かめてから兵士達に対して言った。
「斬れ」
「ハッ」
こうして五百人の左慈達は全て首を斬られた。曹操はそれを見て言った。
「これで全ては終わった」
「さあ、それはどうですかな」
だがここでまたあの声がした。曹操はそれを受けて辺りを見回した。顔はもう蒼白となっていた。
「まだ残っておったのか」
「いやいや」
だがその声はそれを否定した。そして今しがた斬られた首のない死体の首の切り口から白い煙が巻き起こった。それは宙で一つの形となった。それは鶴に乗った左慈であった。
「明公、暫くぶりですな」
「貴様、これはどういうことだ」
「ははは、何でもないことです。これもまた術でしてな」
「術、そんな筈があるか」
曹操はそれを聞いて即座に否定した。
「それは血で破られた筈だ」
「如何にも不浄のものは仙術には効果があります」
左慈はまずはそれを認めた。
「ですがそれを破ることも可能なのです」
「どういうことだ」
「強い術にはそのようなものは効果がないということです。おわかりですかな」
「くっ」
曹操はそれを聞いて歯噛みした。そして左慈を見上げた。
「ならば倒すまで。やれっ」
彼は兵士達に弓矢を放たせた。だがそれは左慈には全く当たらない。全て避けられるだけであった。
「おやおや、お怒りのようですな」
「黙れっ」
曹操の怒りはさらに増した。彼はなおも攻撃を続けさせようとする。だが左慈はここで動いた。
「それっ」
杖を一振りさせたのである。すると風が沸き起こった。
それで弓矢を全て落としてしまった。そして今度は今首を切られたばかりの死体が一斉に起き上がった。そして首がそれぞれ宙に浮かんできたのである。
「またか!」
「甦るか、今度は!」
皆それを見て口々に言う。だが左慈達はそれに構わず首を元通りに取り付けると以前と同じように動きはじめた。そして前に
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