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左慈
3部分:第三章
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と羊達が動いた。
「これで動いた羊がそうでございます」
「そうか。ならば」
 だがどの羊も動く。これを見てさらにおかしく思った曹洪はまた数を数えさせた。すると元に戻っていた。
「逃げられたというのか」
「どうやらそのようですな」
 兵士がそれを見て顔を顰めて応えた。
「また何かに化けて去ったのでしょう」
「何という奴だ。だが遠くへは行ってはおるまい」
「はい」
「捜索を続けるぞ。よいな」
「はっ」
 それを受けて兵士達は馬に乗った。曹洪もそれに続く。そして羊飼いに対して顔を向けた。
「手間をとらせたな」
「いえいえ」
「このことは明公にお伝えしておく。手間をとらせたぶんは払っておく」
「といいますと」
「何、すぐにわかることだ」
 曹洪はそう言うとその場を後にした。後程この羊飼いには一袋の金が贈られたという。曹操は決して吝嗇でも民を忘れたりもしなかったのである。


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