2部分:第二章
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言った。
「あの左慈という男は妖術を使う。あの孫策ですらそれを破れなかったのじゃ」
「はい」
「それはどうするのじゃ。奴を何とかするのは容易ではないぞ」
「殿」
蔡瑁はここで言った。
「孫策は一人で奴を殺そうとしましたな」
「うむ」
その通りであった。劉表はそれに頷いた。
「それが間違いだったのです。如何にあの男が武芸に秀でているとしても一人で仙人を倒すのは無理というものです」
「そうなのか」
「はい。ですから私に考えがあります。千の兵を用意できますか」
「何時でも出来るぞ」
「それならば問題ありませぬ。それを私に預けて下さいませ」
「その兵で何をするつもりか」
「殿、孫策は一人であったが故に失敗しましたな」
「うむ」
「それでは千人ではどうですかな。如何に左慈と申す者が妖しげな術を使いましても」
そう言ってニヤリと笑った。彼もまた左慈を殺すつもりだったのだ。
「やるのか」
「はい」
蔡瑁はまた頷いた。
「ここはお任せ下さい。宜しいでしょうか」
「うむ・・・・・・いや、待て」
だがここで劉表は彼を止めた。
「どう為されたのですか」
「私も行こう。あの男がもし本当に仙人ならば色々と見てみたい」
「左様ですか」
「そうじゃ。どのみち今は特に大事もないしな。それで行くか」
「はい」
こうして劉表は蔡瑁と千の兵と共に国境に向かった。左慈は荊州の入口で彼等を確認した。
「おお、これはこれは」
彼はその千の兵を見ても怖れてはいなかった。ゆっくりと前に進んで来た。
「これはどうも。私を出迎えて下さるのですな」
「如何にも」
鎧を着た劉表はそれに応えた。その後ろには武装した千の兵が控えていた。
「左慈殿ですな」
「はい」
「貴公に用がありここでお待ちしとりました。実は御聞きしたいことがありまして」
「何ですかな」
左慈はにこやかに笑ってそれに答えた。
「貴公は仙人でしたな」
「如何にも」
笑ってその問いに頷いた。了承の証であった。
「僭越ながら術をほんの少し使うことができます」
「左様ですか。それではお願いがあるのですが」
「何ですかな。術を御覧になりたいのですかな」
「はい」
劉表はそれに頷いた。
「宜しければ拝見させて頂きたいのですが」
「わかり申した」
左慈はそれにまた頷いた。だが蔡瑁はそれを見て怪訝な顔をした。
「殿」
「まあ待て」
しかし劉表はここで彼を宥めた。
「まずは見てからでよいではないか。一度見て本物か害がないか見極めたい」
「そうですか」
蔡瑁はそれには同意した。劉表は取り立てて有能な男ではないがかといって無能でもない。また血を見るのをあまり好まないのだ。それがわかっているから彼もそれに同意したのだ。
「さて」
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