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左慈
2部分:第二章
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ですか」
「それはもう。このままでは家に帰ることもできませんから」
「わかりました」
 彼はそれを受けて頷いた。
「それではあの方が行かれた方へ進まれならい。そうすれば御会いできます。そしてそこで謝罪されればいいでしょう」
「許して下さるでしょうか」
「ええ」
 彼は笑顔でそれに頷いた。
「あの方はお優しい方ですから。謝れば許して下さいますよ」
「それはよかった」
「ささ、早いうちに。善は急げといいますからな」
「はい」
 それを受けて彼は左慈の行った方を進んだ。そして暫くして彼に会った。
「おや」
 左慈は彼を認めて振り向いた。にこにこと笑っている。
「どうされたのですか」
「あの、先程は」
 彼は徐に言われた通りに頭を下げた。そして謝罪した。
「先程は失礼致しました」
「いえいえ、わかって下さればそれでよいです」
 左慈は微笑んでそれに応えた。それから杖を一振りした。そしてまた彼に対して言った。
「戻ってみなされ。万事元通りになっておりますぞ」
「はい」
 彼は言われるがままに戻ると牛も車も元通りになっていた。それを見てほっと胸を撫で下ろした。
「よかった」
 それからその男は心を入れ替えに二度と他人に対して意地悪なぞしなくなったという。左慈の件で流石に反省したからであった。左慈はこの後徐に会い歓待を受けた。そして今度は荊州に向かったのであった。
 荊州を治めていたのは劉表であった。彼は皇族であり人格も温和だということで信望が高かった。だが今一つ気が弱く優柔不断であった。だがこの時の彼は違っていた。
「それは本当か」
「はい、間違いないかと」
 彼は腹心の部下である蔡瑁に尋ねた。彼は劉表の妻の兄なのである。
「そうですな」
 問われた蔡瑁は暫し考え込んだ。それから話をはじめた。
「まずあの左慈という者ですが怪しげな男であります」
「ふむ」
 劉表はそれを受けて頷いた。
「先に呉の孫策のところにいたというのは御聞きでしょうか」
「それは聞いている」
 彼もそのことは知っていた。
「何でも怪しげな術を使って孫策の策から逃れたそうだな」
「はい、聞くところによると孫策が馬で追いましたが追いつけなかったとのこと。やはり只者ではありませぬ」
「その様な男をこの荊州に入れてよいかな」
「私はそれには反対です」
 彼はきっぱりとそう答えた。この蔡瑁という男は将としては中々の才覚がありとりわけ水軍の指揮に秀でていた。それ故左慈の様な怪しげな男が国に入るということに対して危険なものを感じていたのである。彼は将として国の安全を預かる立場からそう答えたのである。
「あの様な者を国に入れるのはどうかと思いますが」
「そなたはそう思うか」
「はい」
「だがな」
 ここで劉表は顔を曇らせて
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