暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
GGO
〜銃声と硝煙の輪舞〜
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!?」

ゴツいテンガの下顎ががくんと落ち、大きく開かれた口から驚愕の声が漏れた。

まるで瞬間移動でもしたかのような横移動で、弾幕の脅威の埒外に逃げた少年は、がしょんと銃身の下の部位を稼働させる。映画などでは確かこんな感じで、銃弾を再装填させていたはずだ。

発砲。

しかし今度も、放たれた凶悪なスラッグ弾は手前の床に深い傷痕を刻んだだけだった。

だが、女性の顔が強張ったままなのは、何も少年が強襲してきたことをまだ引きずっている訳ではないのだろう。

悟ったのだ。

眼前の存在が、狙撃手(じぶん)のような者にとって天敵に近いものなのだと。

狙撃手の一番の利点は何なのだろう、と問われれば、百人の狙撃手が一様に答えるだろう。

決まっている。自分が死ぬ危険(リスク)がないような遠方から一方的になぶり殺しにできるからだ、と。

実際、それは間違っていない。アサルトライフルの有効射程は最大でも五百メートル。ショットガンやハンドガンなどは百メートルくらいだ。

だが、スナイパーライフルの一撃はキロ単位。文字通り、倍以上の距離から飛来するライフル弾は、先刻のテンガの弾幕からも分かる通り、風化して傷んでいたコンクリート壁ぐらいなら軽く貫通する威力を誇る。そんな一撃をこちらの攻撃の埒外から次々叩き込まれるなど、なるほど、状況が状況だったならほぼ確実に仕留められたかもしれない。



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少年にとっての銃の射程距離など、それこそ瞬き程の時間で詰められるものでしかない。

あのビルでレンが悩んでいたのは、いかにしてこのコンクリート製の壁の中から脱出するかであった。窓は狭いし、当たり前だがドア的なものもない。

弾丸が壁を砕いた後になって冷静に考え直したら、自分の得物でやったら早かったのにとも思ったが、それはあんまり考えなかったことにしよう。あちらから撃ってきてくれたから場所も分かったし。

いずれにせよ、レンの脚は狙撃手にとっては天敵以外の何物でもない。

何せ目の前で実演した通り、身体が通り抜けられる空間容量さえあれば少年はいかなる距離もゼロに変えてしまう。遠距離から攻撃、などという戦法は、そもそも彼には通用しないのである。

おまけに、狙撃というプレイスタイルは同時に、近距離戦の脆さを体現していると言っていい。そりゃ確かに、仮にもGGO中最大の大会であるバレット・オブ・バレッツに参加してくるぐらいだ。近距離戦闘になった際の対処法はちゃんと用意しているはずだが、それでも生粋の前衛職に比べればいささか見劣りすることには変わらない。

要するに。

今の少年にとって、眼前の女性は対戦相手とし
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