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幻影想夜
第十夜「祈りの対価」
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?」
 と、アレンは苦笑混じりに助け船を出した。
「ええ、そうです。ちょっと用事があったのでね。」
 そう言うと、神父はジャックから手を離し、手に持っていた袋をガサゴソと探り始めた。
「えぇっと…、あ、これこれ」
 そうしてレオニー神父は小さな袋出し、それををアレンへと渡した。
「信徒さんから頂いたんですよ。いつもあなたが買い物に行く店のおばさんに頼まれましてね。」
 それは菓子の入った袋であった。
「こんな高価なものを…。」
 手渡されたアレンは困ってしまった。このご時世、菓子などは嗜好品だ。物資が徴収され続ける中、神に使える者が貰っても良いものか…?そう考えていた。
 レオニー神父は、そんなアレンを見兼ねて言った。
「あなたに食べてほしかったんだと思いますよ?快く受け取りなさい。町に行った時にでも、お礼を言いに行けばいいですよ。きっと喜びますよ?」
 この言葉に頷いて、アレンはこれを受け取った。
 隣ではジャックが物欲しそうな目をしている。
「レオニー神父。ジャックに一袋あげても良いでしょうか?」
 アレンは神父に尋ねてみた。すると、レオニー神父は一旦ジャックの方を見てから答えた。
「それはアレンのものですよ?自分の心のままになさいな。」
 そう言うや、レオニー神父は微笑んだ。
 アレンはそんなレオニー神父を見て、ジャックに向き直った。
「はい、ジャック。一袋あげるよ?神様の贈り物だからね?」
 待ってましたとばかりだが、こう言われると受け取りにくいジャックである。なにせ礼拝には殆ど顔を出さないのだから。
「そんな難しい顔をするもんじゃないですよ?友からのプレゼントを受け取れないんですか?」
 今度はレオニー神父が苦笑混じりにジャックへと助け船を出した。そのお陰で、ジャックは何とか手を伸ばすことが出来たのだった。
「ありがとぅな…。」
 そう言って、ジャックは顔を真っ赤にしながら受け取った。
 こんなジャックの照れた姿を見て、アレンもレオニー神父も可笑しくなって吹き出してしまった。
「なんだよっ!笑うなってっ!!」
 ジャックの怒鳴り声も一緒に、楽しそうに裏庭にこだましていたという。


   ‡  ‡  ‡


 さて、ところ変わってジャックの家。粗末ながらも清潔に保たれている部屋は、おかみさんの性格を伺わせる。
 アレンは招きに応じて、ジャックの家に来たが、入って早々「久しぶりだねぇ、アレンくん。」と、おかみさんに抱きつかれてアタフタした。
「おかみさんっ!もうそんな子供じゃないんですから…!」
「何言ってんだい。いつまでだって可愛い子供だよ。うちのドラ息子と代わってほしいねぇ〜。」
 隣でジャックが半眼になってそれに返した。
「いつも同じこと言いやがって…!さっさと席に着か
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