第十夜「祈りの対価」
[3/7]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
?」
と、アレンは苦笑混じりに助け船を出した。
「ええ、そうです。ちょっと用事があったのでね。」
そう言うと、神父はジャックから手を離し、手に持っていた袋をガサゴソと探り始めた。
「えぇっと…、あ、これこれ」
そうしてレオニー神父は小さな袋出し、それををアレンへと渡した。
「信徒さんから頂いたんですよ。いつもあなたが買い物に行く店のおばさんに頼まれましてね。」
それは菓子の入った袋であった。
「こんな高価なものを…。」
手渡されたアレンは困ってしまった。このご時世、菓子などは嗜好品だ。物資が徴収され続ける中、神に使える者が貰っても良いものか…?そう考えていた。
レオニー神父は、そんなアレンを見兼ねて言った。
「あなたに食べてほしかったんだと思いますよ?快く受け取りなさい。町に行った時にでも、お礼を言いに行けばいいですよ。きっと喜びますよ?」
この言葉に頷いて、アレンはこれを受け取った。
隣ではジャックが物欲しそうな目をしている。
「レオニー神父。ジャックに一袋あげても良いでしょうか?」
アレンは神父に尋ねてみた。すると、レオニー神父は一旦ジャックの方を見てから答えた。
「それはアレンのものですよ?自分の心のままになさいな。」
そう言うや、レオニー神父は微笑んだ。
アレンはそんなレオニー神父を見て、ジャックに向き直った。
「はい、ジャック。一袋あげるよ?神様の贈り物だからね?」
待ってましたとばかりだが、こう言われると受け取りにくいジャックである。なにせ礼拝には殆ど顔を出さないのだから。
「そんな難しい顔をするもんじゃないですよ?友からのプレゼントを受け取れないんですか?」
今度はレオニー神父が苦笑混じりにジャックへと助け船を出した。そのお陰で、ジャックは何とか手を伸ばすことが出来たのだった。
「ありがとぅな…。」
そう言って、ジャックは顔を真っ赤にしながら受け取った。
こんなジャックの照れた姿を見て、アレンもレオニー神父も可笑しくなって吹き出してしまった。
「なんだよっ!笑うなってっ!!」
ジャックの怒鳴り声も一緒に、楽しそうに裏庭にこだましていたという。
‡ ‡ ‡
さて、ところ変わってジャックの家。粗末ながらも清潔に保たれている部屋は、おかみさんの性格を伺わせる。
アレンは招きに応じて、ジャックの家に来たが、入って早々「久しぶりだねぇ、アレンくん。」と、おかみさんに抱きつかれてアタフタした。
「おかみさんっ!もうそんな子供じゃないんですから…!」
「何言ってんだい。いつまでだって可愛い子供だよ。うちのドラ息子と代わってほしいねぇ〜。」
隣でジャックが半眼になってそれに返した。
「いつも同じこと言いやがって…!さっさと席に着か
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ