第10話 夢への情熱
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叶えるために、挑戦するために、飛び出した。
いつの日か故郷に帰る、でもそれは夢を叶えてからと、そう誓って。
しかし、先ほどの通り、歌だけでなく芸を取り入れて集客をしてもお客が集まらない。
私たちには、才能が無いのか?
いくらやり続けても、無駄なのか?
そう思いつつも、やり続けてきたが、もう、辞めたほうがいいのかと悩み、諦めかけていた。
そんな折にこの男の人がいきなり現れ、歌い出した。
その歌は、目標、夢に向かって情熱を持ち続けてただひたすら突き進む、そんな歌だ。
私たちの村は貧しくて勉強なんてしてこなかったから、難しい言葉や聞いたことも無い言葉もあって分からない言葉も多い。
だけど、これだけは分かる。
この歌は、どんな困難があろうと胸にある情熱を無くさずにひたすら夢に向かって突き進む。
ただ、その思いを歌に込めている。
だから昔のことを思い出したのだろう。
そこまで思うと、頬を伝う自分の涙に気づいた。
なぜ、涙を流したのか。
いや、涙を流した訳はなんとなく分かっている。
この歌を聴いて、この歌に込められている思いを感じて、今までの自分たちが間違ってなかったと感じたから。
そして、また夢に向かい突き進んで行く覚悟ができたから。
何気なく姉さんたちの顔を見ると、2人も泣いていた。
だが、どこか晴れやかそうな感じと何か覚悟を決めたような、そんな顔をしていた。
2人も顔をこちらに顔を向けてきた。
だが、私もだろうが、2人の顔は涙でぐちゃぐちゃであり、女としては人に見られるのは恥ずかしい顔をしていた。
だけどそんなことは気にならないくらい、今は清々しい気分だ。
そして、今この時は、この人の歌を聴いていたい。
たぶん、姉さんたちもそう思っているだろう。
なにせ産まれた時からの付き合いだし、血を分けた姉妹であるから。
そう思っていると、歌が終わり、曲も終わる。
まだ、まだ聴きたい。
あなたの歌が聴きたい。
そう思っていると彼が
「お前ら、泣くほど感動して聴いてくれたんだな。」
微笑みながらそう言った。
彼の顔を見て、言葉を聴いて、ある思いが湧いた。
思いが湧くのと同時に口から言葉が出てきた。
「私たちをあなたの弟子にしてください!!」
そう言うと姉さんたちが私のほうに顔を向け、驚きの顔で見ている。
だが構わずに言う。
「あなたの歌を聴いて、私たちは夢への情熱を思い出しました。
ですが同時に自分たちの未熟さを思い知りました。
だから、お願いします。どうか私たちを弟子にしてください!!」
そう頭を下げる。
そして姉さんたちも
「お願いします!!」
「チイたちを弟子にしてください!!」
頭を下げる。
この人に私たちのお願いは通じるか。
そう思っていると、
「俺は弟子なんか取らねえよ。他
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