閑話 第四話
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なことないけど、駆け出しの頃は早朝に出かけては深夜に帰ってきて徒労のあまり気絶するなんてことが多々あった。そのたびにセレーネ様に心配を掛けていた。
主観的には問題無かったけど、客観的に見ればアレは相当異常だった。13歳の少女が毎日ブラック企業以上の重労働を気絶するほどこなしているんだから、心配しない訳が無い。セレーネ様にも泣きそうな顔で「頼むから死なないでくれ」って言われたほどだ。当時はダンジョンで死なないようにという意味だと思って大丈夫と返していたけど、多分セレーネ様は過労死の方も心配していた。
今回の護衛だって、帰ってきたときのセレーネ様の安心の仕方と言ったら凄かった。仕切りに怪我が無くて良かったと労わってくれた。
その時にセレーネ様が少し寂しそうに言ったのだ。「私にも構って欲しい」と。さっきも言ったけど、私はセレーネ様に奉仕すると言いながら、セレーネ様が最も欲しがっていた孝行を全くしていなかった。
自分の間抜けさに憤怒を覚えると共に、遅れながらもせめてもの親孝行として休息日を作ることを約束した。と言っても体に「毎日ダンジョン行こうぜ!」という習慣が染み込んじゃっているから、週一くらいになっちゃうと思う。だけどゆくゆくは休息日を増やしていきたいと思ってる。
そういうわけで早速セレーネ様にいっぱい甘えるぞ! と行き込んだ矢先である。
「んふふ〜♪ 久し振りのクレアだぁ抱き心地最高〜♪」
「セ、セレーネ様っ!? そんなことよりもこれっ!!」
「そんなこと!? クレアより大事なことなんてあるの!?」
「えっ、ありがとうございます! ……じゃなくて、これです!」
私の背にひしっと抱きついているセレーネ様は、私の手元を覗き込んで「あぁそれ?」と呟きながら一通の手紙を取り上げた。
「うーんと、これはヘラの徽章かな?」
「そうですよ! 何でオラリオ最強のファミリアから手紙が……!?」
【ヘラ・ファミリア】世界の中心と謳われるオラリオの中でも随一の勢力。【ゼウス・ファミリア】と双頭の存在であり、また両陣営の主神が恋人関係にあることから互いに協力体制を敷いているため他の追随を許さない圧倒的な権力を有しているファミリア。実力においても常にダンジョンの最前線を切り開いているほどである。
常識を知っていれば誰もが畏怖する存在である【ヘラ・ファミリア】が、何故偏狭の地に小さな本拠地を構えている私たち【セレーネ・ファミリア】へ直々に手紙を出してきたのか。恐ろしすぎて私の想像には及ばない。
何かやらかしたっけ……? いや、【ヘラ・ファミリア】はおろか【ゼウス・ファミリア】の構成員ともろくに会ったこともしゃべったこともないから恨みは買ってないはず。でも私が気づいていないうちに何か向こうにとっ
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