閑話 第四話
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ような住宅や人でごった返しているはずがなく、ただ自然が広がっている光景は感動すら覚えた。
普通の場合だったらきちんと整備された舗道を通って目的地に行くんだけど、護衛を付けている時点で普通じゃないのは明白で、野獣やダンジョンから進出してきた祖先のモンスターたちが巣くう危険地帯を通ることになった。
まあ、目的地が王国ラキアという時点で大体お察しだよね。
運搬物資も高級な武具ばかりで、ギルドも隊商も焦っていた理由が良く解る。ラキアは戦争の神が統治する王国で、しょっちゅう戦争を起こしている問題児でもある。聞くところによると戦争を起こしている理由はただ気まぐれの神による仕業であるだけで、王国の宮廷の人たちは大変不本意らしいのだが、とにかくこの依頼が来た時点で近いうちまた戦争を起こすんだろうなぁと予測できる。
そんなこんなで危険地帯を通っている間に野獣を始めとするモンスターたち、そして案の定大規模な盗賊たちに襲われたのだった。
いやね、こんな簡単に言ってるけども結構苦しい戦いだったんだからね? モンスターたちはダンジョン内にいる奴らの方が強かったから問題なかったけど、盗賊に限って言えば相手は同じ人間だから色々と辛いものがあったんだから。私はビビって牽制しかしなかったけど、護衛についていたうちの一人が容赦なく盗賊を殺したのを見ちゃったりしたんだから。
私の首が繋がっているのが良い証拠で、結局武具の運搬は無事に成功。帰りの道では盗賊に襲われること無く帰還することができた。その日の経験値清算でランクアップしたというわけだ。
今回の一件で何となく感じたけど、ランクアップするためには偉業を成さなければならないという俗説は正しくないんじゃないかと思う。多分、自分の限界を打ち破る何かしらを成し遂げなければいけないんだと思う。そうじゃないと私がランクアップした理屈が通らない。
偉業を成さなければならない。この言い回しを吹聴しているのは地上で初めて人々に神の恩恵を施した神様たちだ。言っていることは正しいけれど、厳密な意味合いが違う。その曖昧な部分に、私は神様たちが人々に望んでいる何かが隠れているんじゃないかと思った。
まぁ、娯楽のために降りてきたって言う神様たちなんだから、今更なことなんだけど。
◆
というわけで冒頭に戻り、無事に帰還したその翌日、つまり今日はセレーネ様と一緒に一日を過ごす予定だ。本当ならダンジョンに潜っているところだけど、実は護衛から帰ってきた時にセレーネ様に多大な心労を掛けていたのにようやく気づいたのだ。
私は確かに【セレーネ・ファミリア】の構成員として主神に貢献している。だけど、子としては? 今はそん
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