八十八 初戦・参戦・国境線
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によって。
「此処から先へは行かせません!!」
耳元を掠める風鳴りに、サスケは眼を覚ました。
意識を取り戻した瞬間、誰かに抱えられていると察し、眉を顰める。
サスケを気絶させた当の本人が面倒臭そうに舌打ちした。
「ようやく起きやがったか」
目覚めるや否や、落とされて、サスケは強かに背中を地面に打ち付けた。
文句を言おうと顔を上げ、直後周囲の景色に瞠目する。
「此処は…」
「てめぇが眠ってる間に連れて来てやったぜ。感謝しろよ」
偉そうな物言いで鼻を鳴らす多由也に、サスケは青筋を立てて言い返した。
「だったら、わざわざ俺を気絶させるなんて真似しなけりゃいいだろ」
サスケのもっともな非難に、彼を担いで一人、この国境まで連れてきた多由也はわざとらしく眼を眇めた。
「アホか。んなもん、木ノ葉から音までのルートを馬鹿正直に教える馬鹿が何処にいる?」
気絶したサスケを担いで多由也が第一に行った事柄。
それは君麻呂達とは若干違う別の経路を使う事である。君麻呂達を追うシカマル達に、サスケの実際の足取りをつかませないようにしたのだ。
同じ国境を目指しているとは言え、その方向が少しでも違えば、音隠れの現在地は把握出来なくなる。
また、サスケを気絶させた理由は、経路を教えてはマズイからだ。
サスケが大蛇丸から逃げ出した場合を想定すれば、木ノ葉から音隠れまでの道筋を見せるわけにはいかない。たとえ国境までであっても、念には念を入れるべきだ。
そう暗に告げられ、サスケは顔を顰めた。そこで彼はようやく、現在自分の近くにいる音忍が多由也だけだと気づく。
君麻呂を始めとした音の忍び達はどうしたのか。
「他の奴らはどうした?」
「あいつらは足止め役だ。てめぇを追って来た木ノ葉の相手でもしてるんだろうよ。たくっ、抜け忍をわざわざ追い駆けてくるたぁ………愛されてんな、お前」
多由也の返答に、一瞬サスケの肩が跳ねた。沈黙を貫きつつも『木ノ葉』という語に視線を彷徨わせる。
無言のサスケをどう思ったのか、多由也はハッと鼻で笑った。サスケの迷いを容赦なく断ち切る。
「なんだ、もう故郷が恋しくなったか。だが、もう遅い」
そこで多由也はくいっと顎で促す。指し示された場所へサスケはのろのろと眼を向けた。
視線の先。其処には赤髪を靡かせる少女が一人、立っていた。
「お出迎えが来ちまったからな」
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