第八話 さいかい
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。よろしくお願いいたします」
さっきのキリトに対する馴れ馴れしい態度から一変、よく言えば礼儀正しい、悪く言えばよそよそしい挨拶に、目の前のプレイヤーだけでなく団体様が固まってしまった。
その様子を愉快そうに見ていると、キリトが呆れたようにため息をこぼした。
「気にしなくていいよ。この人ふざけてるだけだから」
「何を仰るキリト氏。私めは誠心誠意ーーー」
「誠心誠意、ふざけただけだろ?」
「さっすがぁ、わかってるぅ〜」
「分かりたくないんだけどな……」
リュウヤがパシンとキリトの肩を叩き、二度めとなるため息をこぼしたキリト。そのやりとりを見ていた彼らはポカンとして口を開けていた。
「まあなんだ、さっきも言ったが俺の名前はリュウヤだ。よろしくしてくれよな」
フォローの意味も込めて再度挨拶し、手を伸ばす。その意味するところを悟ったリーダーらしき人物が手を握ってくれた。
「うん、よろしくな」
キリトには敬語だったが、リュウヤのやり方に緊張が解けたのリュウヤにはタメ口になっていた。リュウヤは気にしたりしないが。
気になるところと言えば、彼の名前である。
「あんた、名前は?」
「あ、ごめん言い忘れてた。僕の名前はーーー」
「ウソだ……」
「へえ、ウソダってのか。よろしくな」
「いや、リュウヤ分かって言ってるよね。僕の名前じゃないよ」
目の前で苦笑ているリーダーの自己紹介を遮り、声を発した人物へと目線を動かす。
そこにいたのは、泣きぼくろが特徴的な大人しい女性だった。
だが、リュウヤにとってその顔はそれ以上の意味を持っていた。
「みんなごめん。……リュウヤ、ちょっと来て」
「おわっ!?」
へ?とその場にいた全員をはてな状態に陥れた女性プレイヤーは、驚くリュウヤの手を引っ張って誰もいない路地裏に連れ込んだ。
「おっとと、なんだい嬢ちゃん、情熱的だな。お兄さん昂ぶっちゃうぜ?」
言うと、少し顔を紅らめた少女はだがそれだけで、リュウヤをじっと見つめた。そして数秒後、彼女は納得したようにうなずく。
「やっぱり。そういうとこ、全く変わってないね」
「俺を知ってるような言い振りだな」
「分かってるくせに、とぼけるのも変わってない」
分かってる、リュウヤも分かっているのだ。彼女が何者なのか。
彼女は肩を震わせ、目に涙を溜めながらリュウヤにすがりついた。
「こんなとこで会いたくなかったよ……!」
「俺もに、決まってんだろ……」
リュウヤはハラスメント警告のことなど忘れて女性である彼女を思い切り抱きしめた。
いつも飄々としているリュウヤらしからぬ感情の発露だった。彼女だけでなく、彼
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